和工ヨット部の4人 世界大会へ挑む

和歌山県立和歌山工業高校ヨット部3年の上原慎平(じんぺい)選手と平北悠人(はると)選手、藤原優咲(まさき)選手と磯野すみれ選手のペア2艇が21~29日にスペイン・アリカンテで開かれる国際大会「2023 420Class World Championships」に日本代表として出場する。2014年の創部以来、初となる国際大会への出場を前に、同部の大上浩顧問(40)は「それぞれの技量はもちろん、各ペアの合力が伸びている」と期待する。

出場する420級は2人乗りの小型ヨット。大きなセール(帆)をコントロールする「ヘルムスマン」と、風向きを読んで身を乗り出するなどして体重を移動させながら艇体のバランスを取る「クルー」がそれぞれの役割を担い、ペアで息を合わせてゴールを目指す。

ゴールへの着位を競うシンプルな競技ながら、自然環境が刻一刻と変わる中、それをいかに予測するかがレースの鍵を握るなど、頭と体の両方を使わなければならない複雑なスポーツ。

レースは40~50分ほどのコースを複数回行い、1位から順に1点、2点と得点が与えられ、合計得点の最も低いペアが優勝となる。

両ペアは昨年12月に三重県で開かれた「第35回全日本420級セーリング選手権大会」で上位に入り、日本代表枠(男子と混合9組、女子5組)を獲得。国際大会への出場権を手に入れた。

上原・平北ペアは同選手権大会の約2カ月前にペアを組んだばかりだったが、「陸でも仲がいい」という相性の良さと、2人の強みである「海での切り替え」が結果につながった。

上原選手が「パフォーマンスは右肩上がり」と話すように、今春のJOCジュニアオリンピックカップで準優勝、江ノ島オリンピックウィークでは優勝を果たすなど絶好調。

小学4年で競技を始め、中学時代に2度の国際大会を経験している上原選手は「世界でも負けじと優勝を狙いたい」と意気込み、高校から同競技を始めた平北選手は、初の海外を前に「練習していることを発揮できるようにしっかりと頑張りたい」と気を引き締める。

女子ペアも、小学3年時から競技を続け、国際大会への出場経験を持つ藤原選手と、高校から競技を始めた磯野選手の2人が「仲の良さ」と「前向きさ」を武器に世界に挑戦する。

「1レース、1レース上に向かっている」という手応えを感じながらも、より高みを目指すため、一つひとつの動作をより高度に、より丁寧に取り組むことで磨きをかけてきた。

磯野選手は初の海外に「楽しみ。自分たちらしいレースをしたい」と笑顔。藤原選手は「海外選手たちの良いところを全て吸収して帰ってきたい」と話す。

渡航にあたり、選手の負担額を少しでも減らそうと、大上顧問が中心となって協力を呼びかけ、県内企業12社から協賛金が集まった。

選手らは「支えてもらっている方々への感謝を忘れず、世界でも実力をどれだけ発揮できるか、全力を尽くしたい」と意気込み、協賛企業の名前をセールに掲げ、遠く離れた異国の大海原でかじを取る。

左から平北選手、上原選手、藤原選手、磯野選手

左から平北選手、上原選手、藤原選手、磯野選手