「市展」で3人が入賞 信愛高校の写真部

和歌山市の和歌山城ホールで24日まで開かれている「第71回市美術展覧会」(市展)の写真部門で、高校生の活躍が目立っている。和歌山信愛高校写真部の3人が、最高賞の市長賞をはじめとする上位を席巻。「和歌山の高校で『写真部といえば信愛』と言ってもらえるようになりたい」と喜びいっぱいに話している。

 

市展で入賞した(左から)井澤さん、平岩さん、岸田さん

写真部門には88点の応募があり、入賞4点、奨励賞10点が選ばれ、65点が入選している。

同高からは13人が出品し、市長賞に3年の井澤里映さん(18)、教育委員会賞に2年の平岩花梨さん(16)、奨励賞に岸田瑛乃さん(16)が選ばれた。

写真部には中高合わせて58人が在籍。市展には昨年初めて高校生が挑戦し、2人が入賞している。

市長賞の井澤さんの作品「でも、自由気まま」は、公園に集まる野良猫を題材にした5枚組の作品。猫の家族が通学途中にある公園をすみかにしていると聞き、学校の帰りに寄ってみることに。友人と猫たちが少しずつ心を通わせていく様子を写し、物語のようにまとめた。自由ながらたくましく生きる猫たちに、進路選択などの悩みや不安を抱えつつ、その瞬間だけは解放されていく自分たちの心情を重ねたという。

中学生の頃は写真部に所属していたものの、撮影を始めたのは高校に入ってから。両親のカメラで撮るうち、その楽しさに魅了されるようになった。1年時には近畿高校総合文化祭で最優秀賞に輝き、2年時にも奨励賞に選ばれるなど、実績を重ねてきた。

井澤さんは「カメラを撮っている時は夢中で、何も考えてない。撮影中は自然と一体になる感覚があります」とにっこり。「年齢によって価値観も変わっていくはず。その時の私の気持ち、自分の存在を、写真に残していきたい」と話す。

指導する同部顧問の森川佳紀教諭(35)も「彼女が撮った影は、何かを語りかけてくるよう」と、独自の表現力を評価。今回の作品にも、猫に近づく自身の影が写り込んでいる。

教育委員会賞に選ばれた平岩さんの作品は「初委員」。友人と初めて委員会に入り、風紀委員を務めることに。高揚する気持ちとともに、腕章を着けた友人を校内で撮影。首元から下を写し、その表情を想像させる一枚。「テンションが上がって撮りました。挑戦する意気込みを表せればいいなと思いました」

高校1年で入部。写真の魅力は「その時に自分が思ったことを思い出せること」といい、「写真を見て話し合ったり、いろんな価値観を学んだりすることができて、世界が広がった」と話す。

森川教諭によると、校内で撮影した何気ない風景でも、平岩さんの作品にはどこか哀愁が感じられるという。平岩さんは「気軽にカメラを楽しみ、また賞が取れたらいいな」とにっこり。

奨励賞の岸田さんの作品は「つかむのは私だ。」。雪が降った日、友人たちが空に向かって懸命に手を伸ばす様子を「みんな楽しそう。いいな」と収めた。

中学2年で写真部に入り、昨年も市展で奨励賞を受けている。写真部の部長を務め、「行動派」。コミュニケーション力に優れ、撮りたいものを見つけると、自ら溶接工場へ声をかけに行ったこともあるほど。場面の状況を的確に捉え、被写体の人間性が伝わるような作品が多いという。「写真は思い出を残すようなもの。もっと笑顔や楽しい瞬間を撮って、みんなに見てもらいたい」と意欲的に話している。
 


 

市長賞に選ばれた 井澤さんの「でも、自由気まま」

 

教育委員会賞に選ばれた平岩さんの「初委員」

 

奨励賞に選ばれた岸田さんの「つかむのは私だ。」