部下の時間を大切に 県が業務改善の宣言

和歌山県は、職員のワークライフバランスの向上や効果的な業務の推進に向け、「時間消費削減宣言~部下の時間を大切にするマネジメントのポイント~」をまとめ、1日から取り組みを始めた。現在の業務の見直しや効率化の推進の他、午後5時以降の庁内会議などを禁止し、職員が業務に集中できる「自分時間」を導入するなどの意欲的な内容で、管理職の意識を変え、一般職員からの提案がしやすい組織づくりを目指す。

岸本周平知事の就任以来、県は、県民の幸せにつながる仕事を推進するため、県職員の働き方、業務の改善を検討。今回の宣言は、行政企画課、行政管理課の中堅・若手職員が、マネジメントを行う班長以上の職員をターゲットに、部下の時間も自分の時間も大切にするために取り組む8個のポイントを整理した。

業務の見直し、効率化の観点からは、意思決定プロセスを見直し、協議や説明に時間をかけ過ぎず、迅速に決裁する▽会議の必要性を精査し、積極的にウェブを活用するなどの基本ルールを設定する▽資料作成が目的にならないよう、削減や簡素化を進める▽庁内の照会やとりまとめなどの定例業務をルール化、効率化する▽デジタルツールを積極的に活用する▽スケジュールや業務の進捗(しんちょく)状況などを共有し、チームで協力して業務に取り組む――などを挙げている。

「自分時間」の導入は、午後5時以降は庁内の会議や打ち合わせ、電話による照会や依頼、新たな業務指示などを行わないというもの。職員が自身の業務に集中し、勤務時間内に終業するための作業を行う時間とし、県庁外部への対応や緊急時の対応は例外としている。

さらに、職務や家庭の状況に合わせた柔軟な働き方の実現のため、すでに制度化されている時差勤務制度、育児・介護中の職員を対象とする在宅勤務制度(リモートワーク)の活用を勧めている。

岸本知事は今回の宣言について、「私が指示したわけではなく、若手の職員が私の真意を表現し、提案してくれて本当にうれしい」と歓迎。リモートワークについては、育児・介護に関係なく全職員が利用できるようにすること、完全フレックスタイム制の導入についても検討するよう、人事課に指示していることを明らかにした。

宣言を庁内にどう浸透させるかについては、毎月の部長会議でフォローアップを行うとし、「職員が気楽に上司に意見を言え、下から提案していける雰囲気をつくっていきたい」と述べた。

 

「時間消費削減宣言」について話す岸本知事