種ごと食べられる「ピノ・ガール」
前号では、小玉への転換が進む、県内の栽培について取り上げた。農水省の統計値によると、スイカにおける全国の収穫量は約20年前と比べ23・7%の減少、作付面積は29・2%の減少となり、大きく数を減らしている。
その要因の一つが種の存在。種を取り除きながら食べるのが面倒という声が多く、スイカ離れが進んでいるという。この問題を打開しようと、近年、種ごと食べられる品種が登場し話題を集めている。今週は、県内でも栽培が進む新品種「ピノ・ガール」を紹介したい。
ピノ・ガールは小玉スイカで、種の大きさが従来品の約4分の1と小さく、そのまま食べられる、マイクロシード。種をかんでも苦みがない。1玉あたりの重さは約2㌔で、やや縦長の楕円形をしている。薄皮で果肉は濃い桃色。やや硬めでシャリシャリとした食感があり、糖度は15度以上のものが多く糖度が高い。
県内でも栽培が行われており、筆者は産直市場で印南町産のものを購入。価格は1000円から1500円程度。前号で紹介の「ひとりじめ」とほぼ同じ価格で手に入る。
「スイカの種を食べると盲腸(虫垂炎)になる」と聞いたことがある方も多いのではないだろうか。種が小さくなったとしても食することに問題はないのか。
諸説あるが、種が盲腸に入り虫垂炎を引き起こす可能性は極めて低く、ヨーロッパから伝わった迷信であるという。もともとは「ブドウの種を食べると盲腸になる」という迷信が起源とされる。実際、種は脂肪分とタンパク質でできており、消化されずに排泄されるので、食べても問題はないという。
種を気にせず、スイカの味わいを思う存分に楽しめるピノ・ガール。スイカのイメージを変える新品種を、ぜひ試してみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)