和歌山製油所 跡地活用の中間報告を公表

10月で操業停止する和歌山製油所(有田市)の今後の在り方について、石油元売り大手ENEOS(エネオス)㈱や県などでつくる検討会は5日、脱炭素化を先導するグリーントランスフォーメーション(GX)モデル地区を目指す「未来環境供給基地」とするとの中間報告を公表した。

中間報告では、今後のグランドデザインとして「カーボンニュートラル社会の実現」と「地域経済への貢献」を掲げる。

環境負荷の低い持続可能な航空燃料(SAF)製造を2026年を目標に事業化するなど、次世代エネルギーに関する新規事業を展開することに加え、GXやカーボンニュートラルの実現に貢献する企業を誘致し、石油に代わる新たな産業の創出を目指す。県と有田市、海南市は、これらの取り組みの実現に必要な協力をする。

製油所機能の停止以降も、設備内の危険物や有害物を除去する無害化工事、自動車エンジンのテストなどに用いる特殊燃料の製造・出荷などにより一定の雇用は維持される見込みで、SAF事業が実現すれば関連の雇用が発生し、新規事業や企業誘致が実現すれば、さらなる雇用創出が期待されるとしている。

中間報告について岸本周平知事は6日の定例記者会見で、「脱炭素のサーキュラーエコノミー(循環経済)に資する基地として、和歌山製油所の跡地が使われることを歓迎したい」と発言。さらに、SAF以外の次世代エネルギーにも県として強い関心を持っているとし、SAFの原料となる廃油の収集には限りがあるとの見方もあることから、「その先には、二酸化炭素と水素を使った合成燃料がある。ぜひともこの場で作っていただきたい思いがあり、お願いしていきたい」と述べた。

 

和歌山製油所の今後について話す岸本知事