大人気の「シャインマスカット」
前号では、大粒で糖度や香りに優れ、巨峰を親に持つ「ピオーネ」を取り上げた。今週は、巨峰、ピオーネと並ぶ、日本の代表的なぶどうとなった「シャインマスカット」を紹介したい。
シャインマスカットは「安芸津21号」と「白南」を交配し育成。2006年に品種登録された歴史の浅いぶどうである。
安芸津21号はアメリカ系の品種である「スチューベン」と、ヨーロッパ系の品種である「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を交配したもの。一方、白南はヨーロッパ系の「カッタクルガン」と「甲斐路」を交配したもので、いずれも、アメリカ系とヨーロッパ系の品種の組み合わせから生まれている。
一般的に、アメリカ系は弾力があり、かみ切りにくい肉質でフォクシー香と呼ばれる特有の香りがあり、ヨーロッパ系は柔らかく、かみ切りやすい肉質でマスカット香と呼ばれる香りがある。
果肉は大きく楕円(だえん)形をしており、果皮の色は黄緑色で皮は薄いが、果肉と密着しているためむきづらい。ジベレリン処理により種なしになっているものが多いため、皮ごと食べることができる。
食してみると、張りのある皮によるパリッとした食感があり、果肉は非常に甘くジューシー。酸味は控えめで、マスカットに近い香りがする。
農水省統計(2020年産)によると、全国の栽培面積は2281㌶で、巨峰に次ぐ2番目。主な生産地は、第1位が長野県(640㌶)、第2位が山梨県(609㌶)、第3位が山形県(227㌶)となっている。和歌山県でも栽培されており、面積は12㌶となっている。
ハウス栽培のものは6月下旬から出荷が始まり8月下旬まで。露地栽培のものは8月上旬から10月上旬まで楽しめる。栽培面積が拡大し、以前よりも手頃に購入できるように。ぜひ、味わってみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)