6期ぶり景況下降 7~9月期の社経研調査
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2023年7~9月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値が6期ぶりに下降し、マイナス9・1(前期比2・9㌽下降)となった。同研究所は「見通しに関しては持ち直しの動きが継続」と分析している。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、727社(36・4%)から回答を得た。
7~9月期の景況BSIを産業別にみると、建設業0・0(前期比1・1?上昇)、製造業マイナス12・3(同8・7㌽下降)、商業マイナス13・7(同3・1㌽上昇)、サービス業マイナス6・2(同6・2㌽下降)で、業種により景況判断が分かれた。
10~12月期の見通しは、全産業でマイナス5・2と上昇に転じる。産業別では、建設業が0・0、商業がマイナス13・2でほぼ横ばいだが、製造業はマイナス3・7、サービス業はマイナス1・3に改善を見込む。
建設業は、経営上の問題に原材料価格の高騰を上げる事業者が3割強あり、収益圧迫の要因となっている。県内の新築住宅着工戸数は減少傾向にあり、公共工事請負金額も紀南を除いて減少し、懸念材料が目立つ。
製造業は、鉄鋼・金属製品、プラスチック製品製造業など原材料価格高騰の影響を受けやすい業種で、景況感が悪いとの答えが多かった一方、食料品、繊維、化学製品製造業ではコロナ禍からの持ち直しが続いている。
商業は2期ぶりの上昇となり、建築材料卸売業、衣料品小売業、生活・文化用品小売業で売上不振を問題点に挙げる事業者が多かったが、飲食料品卸売業、同小売業などでコロナ禍からの持ち直しが続いている。
サービス業は、コロナ禍で落ち込んだ経済活動や人流の持ち直しにより、飲食業や生活関連サービス業で景況BSIが上昇した一方、燃料高騰や人手不足を背景に、運輸業では大きく下降した。
地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス9・8(前期比5・1㌽下降)、紀北マイナス13・6(同3・0㌽下降)、紀中マイナス5・2(同4・2㌽下降)、紀南マイナス5・4(同2・8㌽上昇)で、紀南以外は下降。10~12月期の見通しは、紀北以外は上昇となっている。
経営上の問題点は、1位「売上不振」の28・3%、2位「原材料価格の高騰」の25・7%、3位「人材不足・人員不足」24・9%。4位「設備の老朽化」6・7%の順だった。
今回は、23年度の賃上げ、コロナ5類移行後の動きの2点についてアンケート調査も実施した。
正規雇用者の賃上げを実施した事業者は60・8%で、14年度以降の過去最多を記録。8~9月のコロナ感染拡大について、事業への「影響あり」とした事業者は33・2%で、影響の内容は「従業員の欠勤」が67・4%で最多だった。