和歌山市での火力発電計画中止 関西電力

関西電力は19日午後、凍結状態となっていた和歌山市湊の液化天然ガス(LNG)火力発電所計画の中止を正式に発表した。計画予定地の一部は企業誘致エリアに整備する方針で、県、市とも歓迎する意向を示し、今後は3者による協議会を立ち上げ、整備や誘致の方針などを検討する。

LNG火力発電所が計画されていたのは、日本製鉄関西製鉄所和歌山地区の沖合埋め立て地、約94・6万平方㍍。1990年代、大幅な伸びが見込まれた電力需要に対応するため、出力370万㌔㍗で計画が進められていたが、2004年に地盤改良工事の一部を終えた段階で、電力の需要低迷などを理由に、工事は中断していた。

関西電力は、敷地の一部約15万平方㍍を先行して企業誘致エリアとし、26年度をめどに、土地造成や配管、道路などの整備を進める方針を示している。

19日、同社の髙西一光執行役常務が岸本周平知事、尾花正啓市長を訪問し、計画中止を説明した。

岸本知事は、脱炭素推進県を目指している観点から、「県にとって大変タイムリーでありがたい話」と歓迎し、「できる限り脱炭素に資する企業誘致、産業集積を目指していきたい」と述べた。

尾花市長は「広大な土地を何とか活用してもらいたいとずっとお願いしてきた。今回の決断を評価したい」と述べ、「GX(グリーントランスフォーメーション)産業は国内のいろんなところで動き出している。乗り遅れないよう、早期の立地に向けて、市と県も一緒になって積極的に進めたい」と意欲を示した。

髙西常務は、計画を継続しても採算性、収支の見通しが立たないことから中止を決めたと説明。県、市との協議会は早ければ年明けにも開きたいと述べた。

 

計画中止を尾花市長㊨に説明する髙西常務