仮想空間で観光誘客 メタバース和歌山
和歌山県内を拠点とするバス・タクシー業、飲食業者らが、仮想空間で体験型のコンテンツを提供する新たな観光事業「メタバース和歌山」を立ち上げ、21日に和歌山市役所で記者会見を開いて発表した。ユーザー数5億人を超える人気オンラインゲーム「フォートナイト」上に和歌山城などのマップを公開し、eスポーツ大会を実施することなどにより、舞台である和歌山への誘客を図り、新たな市場の開拓を目指す。
メタバース和歌山は、バス・タクシー業のユタカ交通㈱(和歌山市中之島、豊田英三社長)が、一般社団法人和歌山新城下町DMC(会長=西平都紀子㈱信濃路会長)と立ち上げた実行委員会が運営する。
フォートナイトは、仮想空間のマップ上でユーザーたちが武器やアイテムを収集しながらバトルをするゲームで、スマートフォンやニンテンドースイッチなど幅広い端末が利用でき、月間のアクティブユーザーは7000万人を超える。
この人気ゲームの中に、メタバース和歌山が製作したリアルな和歌山のマップが登場。第1弾として21日に公開された和歌山城マップでは、城の外観や周辺の敷地だけでなく、天守閣の内部もリアルに再現され、屋根の上などにも登ってバトルができる。
今後は、和歌山駅前、市中心部の繁華街「アロチ」のマップも公開する。
マップには企業の看板や建物を登場させ、企業のホームページや通販サイトへのリンクなども可能になる。バーチャル上でのマーケット開拓に加え、仮想空間を通じて知ってもらった和歌山へのリアルな集客にも期待が高まる。
今後は、吉本興業と協力し、「フォートナイト下手くそおじさん」としても知られる人気お笑い芸人の小籔千豊さんが開くゲーム大会とのコラボレーション、インフルエンサーらが参加するオンライン大会の開催、南海電鉄が所有するeスポーツイベント会場などでの大会などを実施する予定。
さらに、特産品を購入できるEC(電子商取引)ショップ、8K・360度動画によるVR観光ツアーなどの地域レジャーを展開し、和歌山城下町の事業者で30億円の新規経済市場を目指すとしている。
記者会見には、実行委員長の豊田社長、和歌山新城下町DMCの西平会長、西廣真治副会長、マップ製作を手掛ける㈱モンドリアン(東京都)の角田拓志社長らが出席し、事業について説明した。
豊田実行委員長は「これからの地域経済や観光振興は、国内外の若い世代との接点をどうつくっていくかが鍵。リアルな場所への憧れを持ってもらうには、メタバースから入ってもらうのが結果的に早い。いち早く手をつけた方が世界の人に来てもらえるようになる」と述べ、誘客の大きなチャンスとなる2025年大阪・関西万博などに向け、事業拡大に意欲を示した。