被災者に市営住宅提供 和歌山市が支援

能登半島地震を受け和歌山市は9日、被災者への新たな支援として、市営住宅11戸を提供すると発表した。緊急消防援助隊や給水車の派遣などの支援をすでに行っており、尾花正啓市長は「必要な支援を必要な所に届けることが大事。しっかりニーズを捉えて、支援をしていきたい」と述べるとともに、南海トラフ地震に備えるため、市民に対し、木造住宅の無料耐震診断や耐震改修補助などの活用を呼び掛けた。

市営住宅の提供は、全半壊などで自宅に住むことが困難になった被災者が対象で、原則1年以内、家賃や敷金・礼金は無料、光熱水費や共益費は有料となる。11戸のうち菖蒲ヶ丘団地(吉礼)の5戸はすぐに入居可能で、残り6戸は修繕が完了次第の提供となり、状況に応じてさらに提供戸数を増やす可能性もある。

これまでに市が行った被災地への人員支援では、消防庁の要請に基づく緊急消防援助隊(各13隊47人)を第3次まで派遣。石川県能登町などで活動し、第2次隊は9日午前1時ごろに帰着した。

給水関係は、給水車1台、支援車両1台、職員4人を3日から派遣し、同県穴水町で活動中。被災者の健康管理の支援のための保健師は、和歌山県と交互での派遣を予定し、和歌山市からは保健師と事務職各2人の4人を1チームとする6チームが10日から活動する。

被災建築物応急危険度判定士の派遣も予定し、要請があり次第、出発する。

市内の住宅耐震化では、現在の耐震基準となる前の2000年5月以前に着工の木造住宅は無料耐震診断が受けられる他、家具の固定、耐震改修の補助などの制度を設けており、市は強く利用を促している。

尾花市長は、南海トラフ地震からまず命を守るため、住宅の耐震化は大切だと強調し、「耐震化は(しなくて)大丈夫だということはないので、ぜひお願いしたい。われわれももっと呼びかけていきたい」と話した。

能登半島地震の被災者支援などについて話す尾花市長

能登半島地震の被災者支援などについて話す尾花市長