江戸後期の和歌山城再現 中村さん市にCG贈る
江戸時代後期の和歌山城の姿を高精彩に再現したCG画像を、㈲アート・コア(和歌山市堀止東)の中村英子代表取締役が製作し、市に寄贈した。
CGのタイトルは「紀州 和歌山城『江戸時代 吹上口からの夜明け』」。吹上口は和歌山城の北西、わかやま歴史館の西側付近にあった出入り口で、現在は埋め立てられている西外堀を通じて北外堀(市堀川)と水路でつながり、周辺には堀から荷揚げするための石段(雁木)があり、物資の搬入口として使用されるなど、城内の生活維持に欠かせない重要な場所だった。
CGは、吹上口の橋の前から朝日に照らされる天守閣を奥に仰ぐ構図で、今は失われた吹上大門や勘定門、雁木をはじめ、石垣、その上に巡らされた白壁など城内の建造物が精緻に描かれ、往時の雄大な光景を知ることができる。
同社は建築パースの製作やグラフィックデザインなどを手掛ける。中村さんはこれまでに、別の位置から見た和歌山城の姿をはじめ、歴史的建造物の復元図製作に携わり、今回も文献や史料を入念に調査し、専門家の協力、助言を受けて完成させた。
贈呈式は16日、市役所市長室で行われ、同社の中村さんやスタッフらが訪問し、浜田真輔市議が同席。中村さんが尾花正啓市長に目録を手渡し、尾花市長は感謝状を贈った。吹上口の解説や製作の経緯の説明もあり、CGを前に話は弾んだ。
尾花市長は「今までになかった貴重な再現をしていただき、ありがたい。多くの市民に知っていただきたい」と感謝。中村さんは、戦災で焼失した天守閣が再建される前から写生に通うなど、和歌山城への強い思いを紹介し、「いろいろと城のことを調べ、正確な表現を心掛けて製作した。隆盛の時代の和歌山城を見て、元気になっていただけたらうれしい」と話した。
CGは市役所本庁舎1階ロビーに飾られ、和歌山城の魅力発信に活用される。