選手の安全など研究発表 県高体連大会

和歌山県高校体育連盟(西上嘉人会長)は、研究大会を和歌山市七番丁の和歌山城ホール小ホールで開いた。同連盟のサッカー、卓球、テニス専門部の計4人がそれぞれ、選手の安全や体調、競技力向上についての研究を発表した。

研究大会は運動部指導者の資質向上を目的に2019年度から開いており、5回目の今回は、主に県内の高校の運動部顧問ら約100人が参加した。

サッカー専門部の宮本宇洋さん(星林高教諭)は、「安全な環境で競技を行うために、指導者が雷についての知識を深めることが重要」として、競技と雷の関係について話した。

宮本さんはサッカーの指導者に独自で行ったアンケート調査の結果などから、雲行きを見て落雷を予測することが軽視されていると指摘。「黒い雲や積乱雲が目視で確認できれば、中止判断や避難の準備が必要」と呼びかけ、落雷の危険性を伴う積乱雲を動画で紹介した。

選手へのアンケートを基に、選手には中止の判断に対する知識が欠如しているとも話し、指導者が避難場所を事前に確認し、軒下や駐輪場ではなく屋内に避難するよう誘導することが重要と話した。競技再開の判断については、雷鳴や雷光が20分以上確認されていないことが基準になることを紹介した。

卓球専門部の谷口陽一さん(粉河高教諭)は、女性選手のコンディショニングをテーマに発表し、「指導者が女性の月経に対する知識や理解を深めることが、指導力の向上につながる」と呼びかけた。

同校女子卓球部員に行ったアンケートから、月経痛のある中で競技に取り組む選手が多いことが分かり、選手個人の月経周期を聞き取り、練習の量や強度を調整することで、選手の体調悪化を防ぐことができたなどと発表した。

部員同士が各自の月経について共有することによって、互いの体調を気遣うようになったことなども紹介した。

テニス専門部の田中文崇さん(和歌山商業高教諭)と岩橋睦起さん(桐蔭高教諭)は、初心者からのテニス指導について発表した。

県内では約6割が硬式テニス未経験での入部であり、指導者にも未経験者が多いと説明。他校との合同練習や外部コーチによる講習を通じて、各選手の実力に応じた練習や指導に取り組んだ事例を紹介した。また、試合中のサービスやリターンなどの能力を分析し、技術力向上を目指していることなども話した。

研究会では、天理大学体育学部の軽米克尊准教授による講演「持続可能とは何か~武道の歴史から学ぶ~」も行われた。

 

研究発表を行った(左から)宮本、谷口、岩橋、田中各教諭