全日本ジュニアスキー優勝 池田さん県勢初

和歌山市の池田由芽さん(12)=日進中学校1年=が、3月23~27日に長野県上田市で開かれた「JOCジュニアオリンピックカップ2024全日本ジュニアスキー選手権大会」の回転(小学校5・6年生女子の部)で優勝した。和歌山県在住者の大会制覇は初めての快挙。北海道夕張市でのスキー留学で技術を磨きながら、今後は国際大会での活躍を目指す。

雪がほとんど降らない和歌山市に生まれ育った池田さんが初めてスキーをしたのは4歳頃のこと。国体出場経験がある元アルペンスキー選手の父・和準さん(43)の影響で、小学校1年生から本格的にスキー競技の練習を始めた。

スキーを学ぶ地域外の子どもの受け入れに積極的な北海道夕張市のスキーチーム「夕張TSOレーシング」に所属し、和準さんもかつて指導を受けたコーチの下、4年生までは冬休みと春休みの時期に夕張に滞在して練習を積んだ。5年生からは、12月下旬から3月までの期間を夕張の小学校に一時転校し、寮で暮らしながら、平日は週4日の練習、土日は道内各地の大会に出場し、みっちりスキーに打ち込む日々を過ごしてきた。

日本のシーズンオフには、走りこみや筋力アップなど陸上でのトレーニングを続け、季節が逆になる南半球のニュージーランドにも行く。12月上旬には、日本よりも冬が厳しい韓国で練習する。

スキーの楽しさは「大会で優勝できること」、うれしいのは「大会で優勝できたとき」と話すほど負けず嫌いで、勝負にこだわる池田さん。和準さんによると、全国優勝を視野に入れるようになったのは昨シーズン終盤のこと。昨年の全日本ジュニア選手権では、K1カテゴリー(小学5・6年生)の大回転に出場し、14位だったが、5年生の中では2位。「来年は優勝したい」との思いを強くした。

迎えた小学生最後の全日本選手権。回転は、急勾配で細かいカーブを素早く正確に曲がるスピードと技術の両方が要求され、2本のタイムの合計で競う。

まずはゴールまで滑り切ることを目標にした1本目は56・65秒で4位。コーチと相談し、「入賞ではなく優勝を狙いにいった」2本目は、スピードが落ちないよう、恐怖心を抑えてスキー板を下に向けること、技術の差がタイムに出やすい緩い斜面での速さを心掛け、出場選手の中でただ一人54秒を切る53・84秒をたたき出し、念願の全日本のタイトルを勝ち取った。

池田さんを除く上位5人の全員が北海道勢、15位までに西日本勢は他に1人もいない中、和歌山県勢が初めて全国を制した瞬間だった。

4月9日、中学校に入学したばかりの池田さんは、和準さん、県スキー連盟の井口博文副会長と共に市役所を訪れ、尾花正啓市長に快挙を報告した。

尾花市長は「大変うれしい。大変な苦労をして一生懸命に練習した成果だと思う。ぜひ和歌山の代表、日本の代表としてオリンピックに出てほしい」と今後のさらなる活躍に期待し、記念品を贈って激励した。

中学生からは、日本代表として国際大会に出場するチャンスも出てくる。池田さんが所属する夕張TSOレーシングには、代表経験のある高校生をはじめ年齢の近い先輩世代、同世代の有力選手たちもいて、切磋琢磨できる環境にある。「今後は世界大会で活躍したい」。池田さんの目は国際舞台に向いている。

 

表彰台の中央で笑顔の池田さん「池田和準さん提供」

 

和歌山市役所で(左から)井口副会長、尾花市長、池田さん、父の和準さん