返礼品の質向上へ 事業者向けセミナー

ふるさと納税に理解を深め、返礼品の品質向上につなげてもらおうと、紀の川市は9日、市役所(同市西大井)で市のふるさと納税返礼品に登録している事業者を対象としたセミナーと個別相談会を開催。2部に計約60の事業者が参加した。

セミナーは2022年度から開かれ、4回目。前回から個別相談会も同時に行っている。
2022年度から23年度にかけて全国での市場規模(寄付額)は、約9654億円から約1・1兆円になると見込まれている。紀の川市への寄付額は約13億9000万円から約19億1000万円になる見込みだという。

セミナーでは、市企画部地域創生課の西川昌克主査(35)が、市への寄付額の状況や市独自の取り組みなどについて紹介。市では制度を通した市民の所得向上を目指しているとし、制度をきっかけに知名度の向上や顧客獲得を目指してほしいと伝えた。

納税制度における市独自のルールとして、ことし3月21日から制定した要綱も紹介。制度違反の疑いがある事業者に対して市が掲載を即座に停止できるようになったことや、産地偽装や傷んだ返礼品が確認された事業者などに対して行う市の調査に対する応答義務と、市や寄付者に対する損害賠償規定が追加されたことなどを伝えた。

市の取り組みとして、果実や箱の傷み具合、同梱された案内の内容などを採点する、返礼品の抜き打ち調査(返礼品Gメン)についても紹介。事業者に返礼品の品質向上を目指してもらおうと、13の採点項目の詳細も公開した。

個別相談会では、寄付の受け付けや配送の手配などを行う㈱さとふると、市のふるさと納税運営などに携わる㈱ローカルの担当者が事業者の悩みに回答。返礼品の追加や変更、クレーム減少に向けての相談などがあった。

同市桃山町で桃を栽培する根来伸治さん(59)は、返礼品Gメンなどの取り組みを初めて知ったといい「ちゃんと良いものを栽培し、梱包もしっかりとして寄付者に喜んでもらいたいと改めて感じた」と気を引き締めた。

西川主査は「ふるさと納税制度を通して紀の川市の事業者の作る物の良さを伝えるため、市と事業者の連携を深め、品質向上やリピーターの獲得につなげていきたい」と意気込んでいる。

 

市独自の取り組みなどを話す西川主査㊨