県が損害賠償請求へ トンネル工事で

ずさんな工事が発覚し、掘削以外をほぼ全面的にやり直している和歌山県道長井古座線「八郎山トンネル」(那智勝浦町―串本町、711㍍)の調査報告書が5月31日にまとまったことを受け、岸本周平知事は6月5日の定例記者会見で、事業者への損害賠償請求を準備中だとし、「どのような形で請求ができるのか、弁護士、国交省と綿密に相談しながら進めている」と述べた。

同トンネルは当初、2023年12月の開通予定だったが、やり直しのため25年12月ごろにずれ込む見通し。損害賠償請求は、開通の遅れに対するものなどを検討している。

岸本知事は、報告書が原因の一つとして指摘した「倫理観の欠如」にふれ、「本当にこんなずさんなことが起きたのかと、今一度驚かされる。もう一度襟を正し、他山の石として、われわれも含め、倫理観について見つめ直していきたい」と話した。

また、入札制度改革にも言及し、次期長期総合計画の検討の中で、これまでに実施した制度改正について検証することを表明。論点の例として、災害時にがれきの撤去などが必要な場合、実際に重機を保有し、従業員が現場で施工できる業者でなければ助けにはならないことを挙げ、重機などを持たず、各業種や事業者の調整、工程の設計などのプロセスエンジニアリングを行う企業よりも、「実際に災害の時に助けてくれるところに、もっと優遇をしていいのではないかという意見もある」などと述べた上で、総合的に入札制度を見直す考えを示した。