県内景況は堅調に推移 社経研調査4~6月期
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2024年4~6月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値が2期ぶりに上昇し、マイナス8・0(前期比2・0㌽上昇)となった。同研究所は「製造業、小売業での景況感の改善により県内景況は堅調に推移」と分析している。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、卸売業300、小売業300、サービス業800)にアンケートで実施し、747社(37・4%)から回答を得た。
4~6月期の景況BSIを産業別にみると、建設業マイナス5・0(前期比3・8㌽下降)、製造業マイナス10・5(同8・7㌽上昇)、卸売業マイナス10・2(同3・2㌽下降)、小売業マイナス18・8(同4・6㌽上昇)、サービス業マイナス2・7(同0・7㌽下降)で、業種により景況判断が分かれた。
7~9月期の見通しは、全産業でマイナス8・9と下降。産業別では、製造業がマイナス13・1、サービス業がマイナス6・3に下降する一方、建設業はマイナス2・1、卸売業はマイナス9・5、小売業はマイナス14・9に上昇を見込んでいる。小売業は今後も持ち直しの動きが続く見通し。
建設業は、例年の動きで4~6月期は工事出来高が少なく、全体的に景況感は下降。値が低いほど人手不足が強い「雇用適正度」はマイナス46・4と非常に低くなっている。
製造業の景況BSIは3期ぶりの上昇となり、食料品製造業ではプラスの水準まで上昇した。仕入れ価格BSIは依然として高く、価格上昇の懸念が強い。
卸売業の景況BSIは2期連続の下降となり、特に機械器具卸売業で7・7㌽と下降幅が大きかった。資金繰りが悪化している事業者が増加傾向にある。
小売業の景況BSIは2期連続の上昇となり、特にその他の小売業で15・6㌽と上昇幅が大きかった。雇用適正度は2期連続で上昇し、人手不足感はやや緩和されている。
サービス業の景況BSIは2期ぶりの下降となり、特に不動産業で14・2㌽と下降幅が大きかった。雇用者数BSIは6年ぶりにプラス水準まで上昇し、特に運輸業、飲食業で従業員が増加したとの回答が多かった。
地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス6・1(前期比1・6㌽上昇)、紀北マイナス13・9(同2・1㌽上昇)、紀中マイナス10・2(同1・4㌽上昇)、紀南マイナス3・3(同3・9㌽上昇)といずれも上昇。7~9月期の見通しは、和歌山市と紀南が下降し、紀北と紀中は上昇となっている。
経営上の問題点は、1位「売上不振」の28・5%、2位「人材不足・人員不足」の25・5%、3位「原材料価格の高騰」の22・0%で前回と同じ順位。4位は「設備の老朽化」の6・7%だった。
県内経済指標から見る県経済の状況について同研究所は、鉱工業生産指数の低迷が続いていること、百貨店・スーパー販売額が約2年ぶりに2カ月連続で前年を下回ったこと、有効求人倍率が3カ月連続で下降したことなどから、「個人消費・企業活動ともに弱さが見られ、雇用環境に悪影響が及んでいる」と見ている。
今回の特集アンケートでは、直近決算期の業績について、売上高、営業利益ともに前年比で「増加」とした事業者が4年ぶりに減少に転じ、持ち直しの動きに一服が見られる。
高齢従業員の活躍状況についてのアンケートでは、60歳以上の従業員がいる事業者は78・2%で、5年前の調査より6・8㌽増加。高齢従業員に認めている勤務形態(複数回答)は、「短時間勤務」が43・4%で最も多く、「短日数勤務」が38・9%で続いている。高齢従業員に期待すること(同)は、多い順に「経験・スキル」79・3%、「人手不足の解消」54・9%となっている。