事前復興計画の課題を確認 和歌山市が訓練

ワークショップで課題を話し合う和歌山市職員ら
ワークショップで課題を話し合う和歌山市職員ら

和歌山市は28日、昨年10月に中核市で初めて策定した「事前復興計画」に基づき、災害が起こる前に取り組んでおくべき課題を市職員が改めて認識し、今後の準備に生かすためのワークショップ訓練を実施した。若手を中心に67課の87人が参加し、専門家による講義を受け、グループワークで課題を洗い出した。

市は、南海トラフで発生する巨大地震を想定し、迅速な復興のための基本方針を定めた事前復興計画を、人口20万人以上の中核市で初めて策定。津波浸水想定地域に居住の集中地域が含まれ、沿岸部に製造業や観光施設が集積しているなどの市の特徴を踏まえ、既存の土地や高台を生かした復興などを掲げている。

今回の訓練では、同計画の策定に協力した和歌山大学システム工学部の平田隆行准教授が講演。

和歌山市の事前復興計画は、発災時に必要な復興のための手続きや指針を定めておく「事前準備・マニュアル整備型」だとし、コンサルタント頼みではなく、市職員の手で作られており、復興の全体プロセスを把握できている人材が庁内に育っていることなどを評価した。

今後は、同計画に基づき、「庁内で課題を共有し続け、足りない部分を補充し続けることが大事」と指摘した。

また、東日本大震災の被災地、岩手県釜石市の事例から、復興時の市役所には会計規模で通常の10倍、作業量で2倍の負担がかかることを紹介。対応できない部分は応援要員に頼むこと、外部にまかせても業務の質が低下しない体制を考えておくことが重要と述べた。

ワークショップは8班に分かれて実施し、発災前に取り組んでおくべき課題として同計画に示している「復興事前準備」の項目をテーマに話し合った。

各班からは、仮設住宅の準備が最悪の被害時の必要戸数に足りていないこと、仮設住宅や災害廃棄物集積場の候補地が重なってしまう場合が考えられ、関係部署が連携して協議すべきことなど、さまざまな課題が発表され、参加した職員は問題意識を新たにしていた。