堀の水ぜんぶ抜く 和歌山城で石垣や生物調査

飛び跳ねる魚をつかまえた参加者
飛び跳ねる魚をつかまえた参加者

和歌山市の和歌山城で5日、池の水を抜いて、生物調査などをするテレビ東京の人気バラエティー番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」の撮影が行われた。尾花正啓市長をはじめボランティア約120人が胴長を着用して堀に入り、和歌山市が計画している二の丸の北辺櫓(やぐら)群復元に向けての石垣調査や、在、外来種の生き物調査、清掃などを実施。江戸時代のものと思われる瓦や柱片、特大ボラなどが姿を現した。

水を抜いた堀で作業するボランティアら
水を抜いた堀で作業するボランティアら

撮影のきっかけは、市が昨年1月に開いた和歌山城に関するシンポジウムで、参加者から「堀の水を抜くと水の浄化や新たな発見もあるのでは」、「番組に応募してはどうか」などの意見があったこと。市は誘致に向けて動き、実現した。

8月28日に土のうを設置し、城の北側エリア御橋廊下から一の橋付近までの約9400平方㍍の水を抜いた。市によると、昭和40年代に水底の土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ)工事をしたことがあったが、水を抜くのは初めてだという。最大で約1・5㍍あった水位は膝ほどの高さになり、これまで水に隠れていた石垣や水底があらわになった。

誘致のきっかけとなったシンポジウムで発言した、高校2年生の三林幸之助さん(17)も参加。「発言がきっかけでここまで大規模になるとは思わなかった。三つ葉葵の瓦を見つけたい」と意気込み、尾花市長と共に石垣沿いを歩いていき、石垣に割れや抜けがないか、水面に現れた瓦などを調査していった。

石垣沿いには、江戸時代のものと思われる瓦や木製の柱片が多数あり、二の丸にあった建物から落ちてきたのではないかと推測されるという。三林さんは「軒丸瓦と軒平瓦を見つけた。お城に関係する貴重なものだと思う。とてもうれしい」と笑顔。尾花市長は「調査して櫓を早く復元したい」と期待を寄せた。

ボランティアは市内外から参加。生物を見つけて捕獲や運搬、ごみ拾いなどを担当。あちらこちらで特大の魚が勢いよく飛び跳ねる中、参加者らは頭から泥だらけになりながらも協力して懸命に追いかけ捕まえた。

体長60㌢を超えるボラやコイを次から次へと捕獲。スッポンも見つかった。捕まえた生物はバケツリレーで運ばれ、陸地へ。種別に分け、専門家に意見を求めるという。

参加した40代の男性は「石や泥で足場が悪かった。ボラが特大で、1匹捕まえるのに息が上がった。埋蔵金は見つからなかったけれど貴重な体験ができた」と笑顔。他にも、水底から自転車が見つかるなど、職員は引き上げに苦労していた。

市は、ドローンで石垣の3D測量などを行う予定。調査終了後は、地下からの湧き水があるため、自然に水位は戻るという。

番組は22日午後6時半~8時50分、テレビ東京系列で放送予定。テレビ和歌山でも同日時で放送を予定している。