竈山神社で厳かな舞 白浜町弓矢八幡の創作神楽

舞を奉納する弓矢八幡鎮魂放生会の皆さん
舞を奉納する弓矢八幡鎮魂放生会の皆さん

和歌山市和田の竈山神社(吉良義章宮司)で9月29日、白浜町の宗教法人弓矢八幡(林丈嗣教主)の鎮魂放生会(ほうじょうえ)が神楽奉納を行い、170人が厳かな舞と演奏を披露した。

熊野水軍八党(九鬼、向井、鵜殿、泰地、潮﨑、周参見、小山、安宅)の安宅(あたぎ)大神を祭る弓矢八幡では、1990年から慰霊、鎮魂の神楽を創作してきた。林教主は「会には熊野水軍の末裔(まつえい)が多く、苦しんだ御霊に縁がある。それを鎮めるために鎮魂歌を作ってきた。尊き神仏の前で踊って導きをいただきたい」と、信徒らによる弓矢八幡鎮魂放生会が熊野本宮大社(田辺市)、熊野速玉大社(新宮市)、伏見稲荷大社(京都府)、厳島神社(広島県)など、県内外で奉納してきた。

竈山神社では今回が初めて。この日は法被や武蔵坊弁慶の衣装を着た男女が「弁慶げた踊り」でにぎやかに入場。新型コロナが感染拡大している時、疫病退散のために創作した「あかし祓」、水難事故で亡くなった人らの冥福を祈る「大海泰和山河の詩」、源平合戦や内乱で亡くなった熊野水軍八党の安宅一族の霊を弔う「弓矢八幡鎮魂放生会神楽 平家鎮魂謳歌」などを奉納。会員は神楽に込められた思いをかみしめるように真剣な表情で踊っていた。

最後は鳥かごを開け、中にいるハトを空に放し、捕獲した生き物を逃がすことで功徳を積むとされる仏教儀式、放生会を行った。

吉良宮司は「神様も喜んでおられると思う。これからの未来のため神様のこと、仏様のことをたくさんの人に伝え、より良い世の中になるよう祈りをささげたい」と話していた。

この日は同市中之島の志磨神社でも神楽が奉納された。