アーチェリーで日本一 和佐小の山下瑛琉選手

小学生男子の日本一に輝いた山下選手
小学生男子の日本一に輝いた山下選手

アーチェリーに励む和歌山市の和佐小学校6年生、山下瑛琉(えいる)選手(12)は、日本一を決める「2024年全日本小中学生大会」の小学生男子18㍍部門を制した。県内小学生の優勝は19回目の大会で初の快挙。これにより次世代のナショナルチームの選手候補としてGA(ゴールデンエイジ)育成選手に選ばれた。選出は県内で歴代2人目で、小学生としては初となった。

リオ五輪の特集をテレビで見て「弓がかっこいい。やってみたい」と憧れ、3年生の夏休みに競技を始めた。全日本大会には3年連続3回目の出場。4年生では6位、昨年は3位決定戦で敗れて4位となり、「負けて悔しかった。来年は絶対に優勝する」と闘志を燃やした。

以降、平日で一日当たり約200本、休日には約400本打ち込む中、ことし春ごろ、弓を持つ左手を強く前に押し出すことで力を緩めずに矢を放つことができる感覚に気付き、体に染み込ませた。

全日本大会は9月中旬に静岡県のつま恋リゾート彩の郷であり、小学生男子18㍍には全国の上位24人が出場した。大会直前に練習機会が少なかったことによる不安や大舞台での緊張の中、決勝トーナメントの組み合わせを決める予選ラウンドでは72本を放ち、24人中2位につけた。

決勝トーナメントでは予選1位の選手を下すなど勝ち上がった。迎えた決勝戦では疲労と緊張で手が震えたが、「ここまで来たからにはやってやる。優勝する」。左手を強く押し出す意識を強め、7―1で制した。山下選手は「練習の成果を出せて優勝できてうれしい」と笑顔を見せる。

県内2人目GA選出 夢は五輪で金メダル

全日本大会での優勝を受け、GA育成選手に選ばれた。世界ユース選手権などで活躍した矢渡茜選手(20)の貴志中学生時代の選出に次ぎ、県内2人目。山下選手は「将来はオリンピックで金メダルを取りたい」と夢を語る。

山下選手を指導する県アーチェリー協会の森毅強化総括責任者(47)は「精神面が落ち着いているので、気持ちが影響しやすいアーチェリーで安定した記録を出せている。目標を明確にしてひたむきに練習する選手。ここまで順調に来ているのでオリンピックで金メダルを取ってほしい」と期待を寄せている。