eスポーツで起業 高校生の諏訪光夢さん

eスポーツ施設を運営する諏訪さん
eスポーツ施設を運営する諏訪さん

コンピューターゲームの腕前を競うeスポーツを、不登校の子どもや高齢者の支援に役立てようとする動きが広まっている。不登校を経験し、現在は通信制高校に通う高校3年生の諏訪光夢さん(17)は、和歌山市内原で健康研究所「ノマディックeスポーツ」を運営し、楽しみながら交流ができる場所づくりに努めている。諏訪さんは「自身の経験を生かし、多くの人が幸せと思える世の中をつくりたい」と目を輝かせる。

諏訪さんは中学2年の夏ごろから、朝起きると吐き気やめまいなどを感じるようになり、遅刻や欠席を繰り返しながら登校する日々を過ごした。中学3年の夏ごろに症状が悪化し、起立性調節障害と診断された後、学校に行けなくなった。

そんな時、心の支えになったのがゲームだった。オンラインで友人と格闘ゲームをしたり、症状が重くベッドから起き上がれないような時には、友人が家を訪ね一緒にゲームをしてくれたりしていた。諏訪さんは「ゲームと友達のおかげで今の僕がある」と当時を振り返る。そんなゲームで誰かを笑顔にしたいと、施設の立ち上げを決意した。

近年、不登校や引きこもりの子どもたちが、eスポーツで勝利を目指しチーム一丸となることで、協調性や社会性、自己肯定感を養い、社会復帰の一助になるとの指摘もある。さらに高齢者の認知症予防にも効果があることを知り、eスポーツを普及させたいとの思いは強くなったという。諏訪さんは「それぞれに悩みや思いがあると思うけれど、周りの目を気にせずに自分の信じた道に進んでほしい。次は僕が誰かのためになれればうれしい。気軽に遊びに来てください」と笑顔で話している。

同施設では、プロのレーサー気分を味わえる高性能レーシングシミュレーターや格闘ゲーム、シューティングゲームなどが楽しめる。20分1200円。

予約制で申し込みは同施設(℡073・448・3337)。