大災害時に応援協定 和歌山市と東京都北区
和歌山市は5日、東京都北区と、大規模災害時に相互応援を行う協定を締結した。北区は、徳川吉宗や陸奥宗光にゆかりの場所があるなど歴史的に和歌山市と関わりが深く、これまでも両市区間で交流を重ねており、協力関係をさらに進める一環として今回の協定に合意した。市役所で調印式が行われ、尾花正啓市長、山田加奈子区長が協定書に署名した。
和歌山市は南海トラフ巨大地震、北区は首都直下地震により大きな被害が想定されており、人口規模は36万人前後でほぼ同じ。
今回の協定は、両市区の災害対応力、被災者支援の充実を図るもの。どちらかの地域に大規模災害が発生した場合、応急対策や復旧の応援を行うことを主な内容とし、食料や飲料水などの提供、車両や資機材の提供・貸与、職員の派遣、被災者を一時収容するための施設の提供、被災した児童・生徒の一時受け入れなどを想定している。
北区には和歌山市と縁が深い場所が多い。飛鳥山公園は、紀州藩出身の八代将軍・徳川吉宗の命により享保5年(1720)から翌年にかけて1270本の桜が植えられ、花見の一大名所となった。旧古河庭園は、同市出身の元外務大臣・陸奥宗光の邸宅だった場所で、国の名勝指定を受けている。
調印式で山田区長は「それぞれの災害リスクをカバーし合う協定だ。これまでの交流、歴史的な背景もあり、和歌山市には感謝している」とあいさつし、尾花市長は「北区とは平時から交流があり、災害時の迅速な対応にも非常に役立つ。支援はありがたく、北区が被災した場合は、第二区役所のつもりで頑張りたい」と話した。
協定を機に両市区は、市民レベルの交流もさらに進める考えを示している。調印式では吉宗ゆかりの和歌山城、飛鳥山公園の桜の枝を交換し、1年後をめどに植樹を行うことも確認した。