プロテスト一発合格 女子ゴルフで福田さん
和歌山県岩出市岡田出身の高校3年生、福田萌維さん(18)が日本女子プロゴルフ協会のプロテストに一発合格した。これまで幾度の壁にぶつかったが、今は亡き恩師の言葉に支えられてきた。プロでは「たくさんの人に応援され、元気や感動を与えられるような選手になりたい」と意気込む。
セカンドショットのアイアンが得意で、バーディーを量産する選手。小学3年生から競技に励み、「誰よりも失敗してきた」と語る。小学校6年間は岩出ヤンキースで学童野球にも取り組む中、県ゴルフ連盟にも所属していた井邊矩男(のりお)代表の誘いでゴルフを始めた。初めは楽しかったが6年時に「どうしたら上達するか分からない」と挫折。「あまり楽しくないしやめよう」と考えたが、新たにコーチの指導を受け始めたことで大きく成長する。
指導前は200ヤードに届かなかった飛距離も中学1年時には210~220ヤードと大きく伸び、「思い通りに打てるようになってきた」と再び楽しさを感じ始めた。
3年時には「中途半端にはしたくない。プロになれる高校に通いたい」と決意し、宮崎県の強豪、日章学園高校に進学。高校でも何度も壁にぶつかった。入学直後には全国大会を目指すも県予選で敗退。3年時のプロテスト直前には団体4連覇の懸かった九州大会で敗れた。
高校3年間、全国大会の個人では20位を切ったことがなく、これまでの競技生活でも優勝の経験はないが、プロテストでは「気持ちを強く持てた」と勝負強さを発揮。受験者約700人の中、26人の合格をつかみ取った。一発合格者は福田さんを含め2人だけだった。
「継続は力なり」 恩師の言葉胸に活躍誓う
心が折れかけるたびに思い出してきた言葉がある。井邊代表が何度も口にしていた「継続は力なり」。小学生の頃は意味がよく分からなかったが、幾度の壁を乗り越えた現在は「うまくいかなくてもやめずに続けることで、原因が分かって上達できる」と理解している。
昨年3月、井邊代表は85歳で他界した。福田選手は合格し「ほっとした」と同時に、真っ先に「監督に伝えたかった」。監督の自宅を訪れ「ゴルフに誘ってくれてありがとうございます。これからもプロでの活躍を見守っていてください」と仏前に手を合わせて報告した。
学童野球では井邊代表らの指導で打撃を磨き、長距離打者として活躍。現在も経験が生きているという。「失敗を忘れないようにしたい。うまくなると信じて継続する」。今後は「パーパットのパターをしっかり決めてボギーを減らしたい」と意気込む。監督の思いは福田さんの胸の中で生き続け、今後のプロ生活を支える糧となるはず。