世界に一枚の卒業証書 りら高生が和紙作り

卒業式を控え、和歌山県紀美野町真国宮のりら創造芸術高校(山上範子校長)の3年生は13日、同町の「手漉(す)き和紙工房あせりな」で、自身が受け取る卒業証書を手作りした。
同工房では西森三洋さん、有紀さん夫妻が、2017年から自然素材100%の和紙を昔ながらの方法で制作している。有紀さんが同校に美術講師として勤めることから、他にはない卒業証書を制作しようと、19年度から取り組みを始めた。
和紙は、自家栽培の楮(こうぞ)とトロロアオイの根の粘液と水を合わせたものを、簾(す)を取り付けた木枠の桁(けた)で原料をすくい、縦に横に揺らして作るという。卒業証書は中央に同校の校章の透かしが入ったA3サイズ。
3年生19人は、三洋さんから和紙の原料や工程の説明を受け、サポートを受けながら一人ずつ作業にあたった。原料をすくった桁は重くなり、生徒たちは体が持っていかれそうになりながら、慎重に動かしていた。一枚は校章のすかし入り、もう一枚はすかしのない和紙を作り、2枚を重ねる。
奥野桃花さんは「先輩らが卒業式で受け取るのを見ていて制作が楽しみだったけれど、この時期が来てしまったのかと思う。卒業はしたいけれど今の日々が終わるのは寂しい」と話した。
制作した和紙は半日かけて水分を抜いた後、乾燥させる。生徒たちは3月15日の卒業式で完成したものを初めて目にするという。