事件現場に医療チーム派遣 県警と県立医大が協定

協定書を手に持つ中尾理事長㊧と野本本部長
協定書を手に持つ中尾理事長㊧と野本本部長

和歌山県警と県立医大は3日、人質立てこもり事件などの際、負傷者が発生する可能性のある現場に、あらかじめ医師や看護師が待機し応急治療に備える事件現場医療派遣チーム「和歌山IMAT」の運用に関する協定を締結した。傷病者の救命率向上や後遺症軽減を図ることなどが目的で、同様の協定締結は全国で16例目。

和歌山IMATは、人質立てこもり事件などの発生時、県警の出動要請により、事件現場周辺に待機。傷病者が発生した場合、医療機関に救急搬送されるまでの間、応急治療をする。

災害派遣医療チーム「DMAT」のメンバーを中心に組織し、同大学の医師7人と看護師6人の計13人で構成。医師と看護師の2人一組となって活動する。

県警本部で行われた協定締結式には、県警の野本靖之本部長と同大学の中尾直之理事長が出席し、協定書に署名した。

野本本部長は「現場での、より的確な応急措置による救命率の向上や後遺症の軽減が可能となり、人命救助や事件解決に向けた取り組みに非常に期待し心強く感じている」と述べた。

中尾理事長は「負傷者に最大の医療を提供して救命を図ることは医療人の当然の責務。要請を受けた場合、現場経験豊富な医師や看護師を迅速に派遣したい」と話した。

県内では2016年8月、和歌山市塩屋の土木建設会社で男が拳銃を発砲し、従業員1人が死亡、3人が負傷するなどの事件があった。犯人の男は17時間以上にわたってアパートに立てこもりを続け、拳銃で自殺した。