34年連続で下落 25年県内の地価公示

本紙エリア4市の平均価格、変動率
本紙エリア4市の平均価格、変動率

国土交通省は18日、和歌山県内9市14町、177地点の1月1日現在の地価を公示した。1平方㍍当たりの平均価格は全用途、住宅地、商業地ともに1992年から34年連続で下落したが、下落率は全用途が0・5%となったのをはじめ、いずれも縮小。価格上昇地点は住宅地、商業地ともに増え、平均変動率は和歌山市の商業地で3年連続で上昇、岩出市は住宅地、商業地ともに上昇に転じた。

用途別の平均価格は、住宅地4万2200円(111地点、平均変動率0・6%減)▽住宅見込み地1万2800円(1地点、0・8%増)▽商業地8万5200円(61地点、0・2%減)▽工業地2万4300円(4地点、1・1%増)――。平均変動率の全国順位は、住宅地が最下位タイの46位(前年46位)で4年連続の最下位、商業地は39位(同38位)で、近畿2府4県ではいずれも昨年に続き最下位だった。

県内の住宅地は、価格上昇地点が25(前年20)に増加し、横ばい地点は前年と同じ12で、上昇地点があるのは13年連続。上昇したのは、和歌山市内の利便性に優れた地域、津波被害想定区域外の高台、区画整理された地域などで、「同市太田字神ノ畔152番」は3年連続で価格が上昇し、今回の上昇率は2・2%で最も高かった。

市町村別の平均変動率をみると、上富田町が11年連続上昇の0・5%、岩出市が上昇に転じ、0・1%だった他はマイナスだった。

商業地は、価格上昇地点が25(前年21)、横ばい地点が5(同6)で、上昇地点があるのは12年連続。上昇地点の内訳は和歌山市が23地点、岩出市と白浜町が各1地点で、8年ぶりに和歌山市以外で上昇地点があった。国道42号線沿いで大型店舗などが集中する「同市紀三井寺字南前浜621番1」が2年続けて最も上昇率が高く、1・8%だった。

同市の平均変動率は昨年と同じ0・7%で、3年連続の上昇。岩出市が0・3%で上昇に転じた。

最高価格は、住宅地は「和歌山市美園町2丁目80番」が9年連続トップの17万6000円(変動率0・6%)、商業地は、「同市友田町5丁目50番外」が26年連続トップの45万5000円(同1・1%)だった。

不動産鑑定士の美濃部元秀さんは、県の平均変動率が全国平均を下回っている背景として、国土軸から離れた半島に位置していること、県内の人口減少や空き家率の高さなどを指摘。津波の浸水被害が懸念される沿岸部の低地と高台などで地価の下落、上昇の二極化も見られると話した。