智弁春6年ぶり初戦突破 千葉黎明を攻守で圧倒

快投を見せた渡邉
快投を見せた渡邉

第97回選抜高校野球大会第4日の21日、阪神甲子園球場で1回戦が行われ、第3試合で智弁和歌山が千葉黎明(千葉)を6―0で下し、センバツ6年ぶりの初戦突破を果たした。先発エースの渡邉颯人は9回を90球で4安打無失点の完封。打線も12安打6得点で出場選手全員安打を達成するなど、春夏合わせて初出場の千葉黎明を終始投打で圧倒し、強豪としての意地を見せた。次戦は25日、第1試合でエナジックスポーツ(沖縄)と対戦する。

【1回戦】

智弁和歌山
千葉黎明

〔智〕渡邉―山田〔千〕飯高、米良、田代、岩下―川村▽二塁打=荒井、山田(智)

初回、打線がいきなり火を吹いた。犠打や安打を絡めてチャンスを広げ、2死一、三塁で打席に立ったのは荒井優聖。真ん中高めのボールを力強く左翼線へ飛ばし、走者2人が一気に生還。さらに勢いに乗り、正捕手・山田凜虎が狙い澄ました一撃で安打を放ち、この回で3点を取った。

その後も打線の勢いは止まらず、6回、先頭の大谷魁亜が鋭い当たりで出塁すると、犠打で2塁へ。黒川梨大郎が冷静に右前へ運び4点目。さらに7回、4番の福元聖矢の左前適時打で5点目を追加。9回にも内野ゴロの間にダメ押しの1点を加え、最後まで攻撃の手を緩めなかった。

渡邉は「1、2回は制御が効かなかった」と2回2死一、三塁のピンチを招いたが、その状況で自己最速を1㌔更新する145㌔をマーク。持ち前の勝負強さを発揮した。その後も抜群の制球力で試合を支配。18年大会以来、7年ぶりとなるセンバツでの100球未満で完封する「マダックス」を達成した。

試合後、完封勝利となったが「先を見過ぎずに目の前の一戦一戦に集中して試合に備えたい」と慢心はない渡邉。初出場でノーサイン野球を駆使し、8―0の勝利を収めた次のエナジックスポーツ戦に向けて「想定していないことをやってくると思うが、そこで慌てずにミスせずに、自分たちのやるべきことを変わらずにやっていく」と意気込んだ。

中谷仁監督は次戦に向けて、「相手がどうこうというよりも、うちのやっている野球をきっちりとやっていく。どのチームでも動きを仕掛けていくのは一緒。やることは野球」とノーサイン野球にも動じない姿勢を見せた。

1回2死二塁で適時打を放つ山田凜虎
1回2死二塁で適時打を放つ山田凜虎