根来塗学ぶ受講生が作品展 25年度生も受付中

和歌山県岩出市の伝統継承事業「根来寺根来塗」の技法を学ぶ講座の受講生による作品展が、同市根来の市民俗資料館で開かれている。4月14日まで。指導する池ノ上辰山さんは「600年前と同じ技法で時間をかけて作った漆塗りを見て、本物の良さを感じてほしい」と話している。
朱塗りの漆器「根来塗」は、主に社寺や上流階級の什器や生活用具として鎌倉、室町時代を中心に根来寺の工房で専門の漆器職人たちによって作られてきたといわれている。
その技法は複雑で、木地に漆の下塗りを繰り返し、器の角や縁などの欠けやすい部分に麻布を貼り、さらに漆を何度も塗り重ね、26もの工程を経て完成する。特長は、沸騰したお湯を注いでも、落としても壊れない強度と、シンプルな造形美。
1585年の豊臣秀吉による根来攻め以降、根来寺内での生産が途絶え幻の技法といわれていたが、根来塗曙山会代表の池ノ上さんと根来塗権威者・河田貞氏が共に復興。市は後世に伝える人材を育成しようと、講座を開催し、現在約60人が受講している。
今回は1~3年の一般コース45人と、プロを目指す上級コース15人が制作した皿、わん、箸、盆、つぼなど約400点を展示している。
観覧無料。午前9時~午後5時。4月8日休館。
30日、4月6日午前10~11時と午後1~2時には、体験会も開かれる。参加無料。定員は各回ともに当日の先着順に5人。
期間中の水・土曜日午後1時半~3時半には、同館1階の工房で制作実演を見学することもできる。
同講座では2025年度受講生の申し込みを受け付けている。同市民が対象。講座日は原則、水・土曜日の週2回。期間は3年。
受講希望者は同館で直接申し込む。または郵便はがきに住所、名前(ふりがな)、電話番号を記載して同館に郵送(〒649―6202、岩出市根来2306番地の1)。電話では受け付けない。締め切りは4月3日。
展示、申し込みに関する問い合わせは同館(℡0736・63・1499)。