世界最大級「ホノルルマラソン」

ホノルルの市街地
ホノルルの市街地

前号では、一度は途絶えたものの地域の文化として再興し、踊り継がれているハワイの「フラ」を取り上げた。これまで地域固有の歴史から市民が大切にする文化の例を挙げてきたが、近年になり生まれた新たな文化もある。今週は「世界最大級の市民マラソン」や「ランナーの祭典」として知られる「ホノルルマラソン」の魅力を紹介したい。

ホノルルマラソンは、心臓病の専門医の「心臓病のリハビリと予防には長距離を長時間かけて走ることが望ましい」という考え方から始まった、健康のための市民マラソン。1973年に始まり50年以上の歴史を持つ。

初年度の参加者は162人とわずかであったが、現在では約3万人のランナーが参加。日本人の参加も多く1万人を超えることも。開催時期の12月には日本からの臨時の飛行機が多数発着し、大いににぎわう。ことしは現地時間の12月14日に開催予定。

最大の特徴は制限時間がなく、フルマラソンは7歳以上であれば参加ができるという点。最後尾のランナーに伴走するスタッフに見失われなければ、何時間かけてもよいというもの。完走率は9割に達するといい、現在も企画意図が大切にされている。

スタートは午前5時と早く、盛大な花火とともに始まる。魅力は風光明媚(めいび)な観光地を時間に追われず家族やグループで楽しみながら参加できること。そして、ホノルル市民と1万人におよぶボランティアらが、沿道での給水に加え、楽器演奏やサンタクロースの衣装でもてなすなど、地域の方々とのふれあいがあるということ。

和歌山市にも楽器の演奏を聴きながら楽しめる「ジャズマラソン」がある。手法はさまざまだが、ランナーをもてなし一緒に楽しみながら思い出をつくろうという思いは同じ。地域と一体となったランナーの祭典がここにある。(次田尚弘/ホノルル)