ブラインドランナー伴走者育成へ 初の講習会

歩幅を合わせて走るペアにアドバイスする原田さん㊨
歩幅を合わせて走るペアにアドバイスする原田さん㊨

視覚障害のあるランナーの伴走者を育成する講習会が和歌山市内で行われ、約50人が2人一組で呼吸を合わせて走り、楽しく汗を流した。新たな伴走者を発掘・育成しようと、紀の国ブラインドランナーズ(松林正樹代表)が初開催。NPO法人日本ブラインドマラソン協会、公益財団法人山田昇記念財団が協力した。

紀の国ブラインドランナーズは、2018年に視覚障害者と伴走者で結成。現在は約70人のメンバーが県内外のレースに参加し、交流を深めている。

この日の講習会には、2016年リオデジャネイロパラリンピック女子フルマラソンで5位入賞を果たした近藤寛子さんも参加。同協会の事務局長、原田清生さんが講師となり、伴走する上で大切なことなどを話した。

原田さんは「ブラインドランナーの見え方を理解して伴走することが大事」だとし、安全確保を第一に、指示は「あっち」「そっち」ではなく、具体的に分かりやすい言葉で知らせること、コミュニケーションを図りながら信頼関係を築くことが重要であると紹介した。

実技講習では2人一組になり、ロープを握って、まずは歩幅を合わせる練習から。続いて、一人がアイマスクで目隠しをして歩き、目の不自由な人がどのような感じ方をするのか疑似体験。視覚に障害のある人とペアになって歩いたり、走ったりし、ガイドランナーは「5㍍先で左へ曲がります」などと声を掛けながら伴走した。

参加した和歌山大学教育学部3年生で、陸上部に所属する松夲大幸さん(21)は「相手の腕の振りや歩幅に合わせるのは少し難しかったですが、完走した時は喜びが2倍になると聞いて、とても興味を持ちました。ぜひ挑戦してみたい」と話した。

主催した紀の国ブラインドランナーズ代表の松林さん(51)は「皆さんが楽しそうに伴走体験をしているのを見て、涙が出てきた」と感慨深げ。「これからも障害の有無、性別、年齢に関係なく全ての人がスポーツを通じて笑顔になれる環境づくりを進めたい」と話していた。