水球男子が国スポへ 向陽・耐久合同で9年ぶり

国スポに出場する水球少年男子の皆さんら
国スポに出場する水球少年男子の皆さんら

向陽高校と耐久高校の生徒からなる和歌山県選抜の水球チームが近畿ブロック予選を突破し、8日から滋賀県で行われる国民スポーツ大会(国スポ)水泳競技・水球少年男子に出場する。県勢としては9年ぶりの出場となり、選手たちは「県代表として1点でも多く取るため全力を出し切りたい。OBや保護者ら応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れず戦い切りたい」と意気込む。

国スポは、国内最大のスポーツの祭典で、各都道府県が持ち回り方式で毎年開催。選抜メンバーが県の代表として出場し、都道府県対抗で競う。2024年に国民体育大会(国体)から名称が変更された。

和歌山県内の高校で水球部があるのは、両校のみ。それぞれ部員は8人で日々活動する中、全国への切符を手にした。

県は、15年の和歌山国体をきっかけに水球競技の強化を図ろうと、地道な努力を積み重ね、指導者や競技人口を徐々に増やしてきた。数年前からは、経験値の高い向陽と攻撃力のある耐久が力を合わせれば国スポに出場できるのではと、両校は近畿予選突破の目標を掲げ取り組んできた。

水球は、プールに作られたコートでゴールにボールを入れ点数を競う。シュートボールの時速は60㌔前後にもなる。「水中の格闘技」とも呼ばれ、足のつかない水深の中、常に「巻き足」で立ち泳ぎしなから激しい接触に耐え、ゴールを狙う。体力と技術を駆使するスポーツで、消費カロリーはサッカーの2倍ともいわれる。

和歌山チームは、向陽の瞬時の状況判断や分析力に、耐久の点を取るシュート力が組み合わさったバランスの良いチーム。パワーのある主将の仁井田悠月さん(耐久)と、チーム一攻撃力のある梶本和希さん(同)を中心に展開し、全員で守り切り攻撃して点を取る。

守備の要であるキーパーの福田智大さん(向陽)が経験データを生かしてゴールを予測し守り、攻撃の起点に。中学から水球部に所属する小林春樹さん(同)と中村悠人さん(同)が、経験値を生かし状況を読み、組織力を高める。

近畿予選では接戦で危うい試合もあり、今大会に向け、パスミスをなくし基本的な練習や接触に負けないよう巻き足や泳力強化、OBの協力を得て実践練習などに取り組んでいる。

国スポには12チームが出場。3チームの予選リーグとなり、強豪の山口県と埼玉県と同リーグとなった。仁井田主将は「4ピリオド戦い切りたい。全力で声を出して勝ち切る」と士気を高めている。

チームの監督を務めるのは、向陽高校水球部の監督で和歌山国体の際に主将を務めた池田陸哉さん(27)。「しっかり守って攻撃につなげたい。巻き足を強化し、代表として悔いの無い試合ができたら」と話し、耐久高校水球部監督で、県水泳連盟の水球委員長、酒井環さん(44)は「練習の成果を出し、1点でも多く取りたい。モチベーション高く全力を出し切りたい」と話している。

試合は8日に山口県、9日に埼玉県と、草津市のインフロニア草津アクティクスセンターで対戦する。

選手コメント

仁井田悠月主将(耐久・3年)=つかみ合いになっても負けない。声をかけ合い、まずはみんなで守って攻撃に出る。コールドにならないように戦い切る。

梶本和希(耐久・3年)=みんなで協力してボールをつなぎ、シュートでチームに貢献したい。練習に胸を貸してくれたOBやみんなに成長した姿を見てもらいたい。

福田智大(向陽・3年)=相手がパスしにくくなるようになど、味方に声を届け誘導したい。緊張せずいつも通りが出せたら。守り切りたい。

小林春樹(向陽・2年)=得意のカウンター攻撃でボールをつなぎ、点につなげる。激しい接触にも気持ちから負けず、自分たちのできる限りのことをする。

中村悠人(向陽・1年)=得意のミドルシュートでゴールを狙う。最後まで気を緩めず守り切り、カウンターで攻める。泳力の持続力を強化し、近畿代表として恥ずかしくない試合をしたい。