早期発見で未来は変わる 岡本さん乳がん啓発イベント

乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝える10月の「ピンクリボン月間」に合わせ、mocomoco(モコモコ)のアーティスト名で活動する和歌山市の岡本知子さん(49)が10月に同市で啓発イベントや作品展を開く。専門医や体験者によるトークショーの他、マンモグラフィー検診車も配車。自身も乳がんを患った経験から、乳がん検診率の向上を目指し「女性ひとりの問題でなく、パートナーや子どもたち、家族、地域が一緒になって考えるきっかけになれば」と願っている。
岡本さんは昨年10月、浸潤性小葉がんにより右乳房を全摘。自身の経験を通じて、生きることや命について向き合い「早期発見で未来は変わる」と強く感じたという。
乳がんは女性がかかるがんの1位で、9人に1人が罹患(りかん)するといわれている。しかし、検診率が低い現状に、少しでも力になればと、がん経験のある山路製作所(同市)の山路裕子さんと、睡眠特化サロンかりんの癒しセラピスト・かりんのあおいさんと共に、アートを通じたイベントの開催を決めた。
岡本さんは、特に自覚症状はなく、入浴後、乳房に突っ張った感覚があり気になって受診。「まさか自分が、という思いだった」と振り返り「早く気が付けば胸を温存できる。検診に行ってほしい。女性をいたわるイベントとして続けていきたい」と話している。
13日には和歌山市駅前でイベント「第1回ピンクリボンプレゼント~未来のわたしのために今、できること~」を開催。県医師会、県、市などが後援。
検診を受けにくい世代にも、乳がんについて考えるきっかけにしてもらおうと、人が多く集まる場所を選んだ。
4人の医師によるトークライブや、マンモグラフィー検診、グルメブースが並び、ワークショップを開催。トークライブもあり、午前10時半から日赤和歌山医療センター乳腺外科の松谷泰男部長や県立医科大学乳腺外科の宮坂美和子さんら、乳がん経験者の岡本さん、かりんさんらが参加。検診で分かることや経験して感じたことなど医師や患者目線の話を紹介する。
検診車でのマンモグラフィーは、午前9~11時で所要時間は約20分。家族で来場してイベントの間に検診を受けることもできる。30日までに事前予約が必要。予約は地域保健課健康づくり班(℡073・488・5121)。
経験を基に作品展 1日~市民図書館
また、岡本さんは10月1日から31日まで、和歌山市民図書館2階エスカレーター奥の多目的ルーム前で、乳がんの体験を通じて描いた絵画の作品展「Asymmetry」を開く。
検査の際に使用した液の色を表したブルーの絵や、鏡を使って表現したアート、腕にたくさんの花(気持ち)を抱いた作品など、検査や手術などの経験から生まれた感情や気付き、思いをアートに昇華した。
つらかった出来事だけでなく、未来を見つめる自分へのメッセージを込め、命や女性の自己ケアの大切さを伝える。午前9時から午後10時(最終日は5時)まで。