「当たり前」を疑うこと大事 宮北小で科学実験授業

児童たちの前で説明する加納教授
児童たちの前で説明する加納教授

和歌山市納定の市立宮北小学校(西井惠美子校長)で、「みんなで科学コミュニケーション」をテーマにした科学実験の授業が行われた。講師を務めたのは、同校区の出身で滋賀大学教育学部の加納圭教授(45)。本年度から始まった県の研究開発事業「子どもを主語にした授業づくり」の取り組みの一環。

加納教授は日進中学校、向陽高校を卒業後、京都大学理学部に進学し、生命科学の博士号取得。現在は滋賀大学教育学部理科教育講座科学コミュニケーションについての実践と研究を行っている。

今回は加納教授が番組委員を務めるNHKの科学教育番組「考えるカラス」を活用した授業を実践した。お盆と風船を同時に落とすとお盆の方が先に落下するが、お盆の上に風船を乗せて落とすと両方が同じ速度で落ちる。その理由をみんなで考えようという内容で進められた。

実験ではお盆の代わりに段ボールを使用した。児童らは4人1組に分かれ、上に乗せた風船が段ボールとともに落ちることを確認。なぜそうなるか絵を描いて加納教授に説明した。また、屋外でも同じように落下するかを確認するために、校庭に出て行う児童もいた。

実験終了後、児童らの絵を見た加納教授は、段ボールと風船が同時に落下することについて、段ボールがバリアとなり風船が空気抵抗を受けない▽段ボール落下時にできる空気の渦で風船が上から下に押さえつけられる▽静電気により風船が段ボールにくっつく――の三つに分類し、児童らに共有。自分たちの考えは本当に正しいか問いかけ、児童らはグループで話し合い、追加で実験を行うなどした。

実験に参加した6年生の女子児童は「いろんなことを分かりやすく教えてもらって楽しかった。これからの生活にも役に立ちそう」と笑顔。

加納教授は「外に出て実験したり、描いた絵を見てほしいと手を挙げたりする子どもたちが多いことに主体性を感じた。科学で大事なことは当たり前を疑うこと。このような考え方を身につけてもらえれば」と話していた。

西井校長は「子どもたち一人ひとりが面白い、楽しいと思いながら実験できていい機会だった。教授が言っていた『当たり前を疑う』ことへのきっかけにもなったと思う」と述べた。

グループで話し合いながら実験する児童
グループで話し合いながら実験する児童