カイロス3度目の挑戦 2月25日に打ち上げへ

和歌山県串本町の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を運営する宇宙事業会社、スペースワン㈱(東京都)は15日、カイロスロケット3号機の打ち上げを来年2月25日午前11時に行うと正式に発表した。5機の人工衛星を搭載する予定で、豊田正和社長は「衛星を軌道に乗せることが私たちの責任。これを何としてでも実現したい」と3度目の挑戦での成功に強い意欲を示している。
カイロスは、昨年3月13日の初号機は打ち上げから5・3秒後、12月18日の2号機は187秒後、内蔵の自律飛行安全システムが正常な経路を逸脱したと判断し、飛行を中断して自爆。人工衛星を軌道投入するには至らなかったが、2号機は宇宙空間まで到達した。
2号機の飛行中断の原因は、燃焼ガスを噴出する「ノズル」の角度のずれを検知するセンサーからの信号が異常となり、機体を正常に制御できなくなったため。3号機では、センサーの設計を一部見直し、熱や振動により強くするなどの対策を講じている。
3号機には、テラスペース㈱(京都府京田辺市)、㈱Space Cubics(札幌市)、広尾学園(東京都港区)、㈱ArkEdge Space(東京都江東区)、台湾国家宇宙センター(TASA)による5機の小型人工衛星が搭載される。打ち上げの手順などは2号機と変更はなく、太陽同期軌道、高度500㌔への衛星投入を目指す。
オンラインで行われた記者会見で豊田社長は「宇宙の力で社会の課題を解決し、人々の暮らしを豊かにする。そのために日本の民間宇宙輸送インフラを作ること、それがスペースワンの使命。地元の皆さまに愛されるカイロスで、宇宙輸送サービスを特別なものではなく身近な存在としていきたい」と述べた。
日程の発表を受け宮﨑泉知事は「3号機では、人工衛星の軌道投入が実現することを期待している。県としても串本町・那智勝浦町や関係機関と連携して、全力で打ち上げをサポートしていく」とコメントした。
日本初の挑戦支援 クラファンも実施
スペースワンは3号機の打ち上げに向け、費用の一部とするためのクラウドファンディングの実施も発表した。第一目標を8000万円、最終目標を1億円と設定し、2月25日午後11時まで募る。
民間企業による日本初となる人工衛星の軌道投入の達成に向け、県内外に同社の挑戦を広く知ってもらい、民間ロケット打ち上げの意義を共に考える機会にすることを目的に掲げている。
支援は5000円から受け付け、返礼品は、打ち上げ応援グッズや串本町・那智勝浦町の名物詰め合わせ、スペースポート紀伊の特別見学ツアー、3号機打ち上げの特別観覧席付き宿泊プランなどとなっている。
プロジェクトの詳細、支援はREADYFORのサイトから。

