井澤弥惣兵衛の活躍描く『飛上りもん』発刊

井澤弥惣兵衛の活躍をつづった『飛上りもん』
井澤弥惣兵衛の活躍をつづった『飛上りもん』

江戸時代の紀州・溝ノ口村(現在の和歌山県海南市野上新)生まれで紀州流土木工法の始祖といわれる、井澤弥惣兵衛(1654―1738)の活躍を描いた小説『飛上(とびあが)りもん』が中央公論新社から発刊された。家族や弟子たちとのエピソードを交え、壮大な人間ドラマをつづっている。

著者は高田在子(ありこ)さん。1972年、神奈川県横浜市生まれ。これまでに『まんぷく旅籠 朝日屋』シリーズ、『茶屋占い師がらん堂』シリーズなどを刊行。本作が作家生活10周年にして初の単行本となる。

井澤弥惣兵衛は、豪農の出ながら、大切な人を洪水で失った無念を晴らすため、海南市の亀池の築造や新川(亀の川)の改修を行い、治水技術「紀州流」を確立。「米将軍」とも呼ばれた8代将軍・徳川吉宗は米不足に悩み、弥惣兵衛を江戸に呼び寄せた。

弥惣兵衛は還暦ながら旗本となり、関東に水田を増やし、勘定吟味役格へと異例の大出世を遂げた。同書では、わが道を貫く弥惣兵衛の姿が描かれている。

タイトルの「飛上がり」には、①飛びあがること②突飛な言動をすること。また、その人。むこうみず③一足飛びに出世すること。成上り(『広辞苑』より)――の意味がある。

四六判、440㌻。2750円。