地域の課題解決を担う「和歌山梅酒」

前号では、800年近い歴史を持ち、県内で初めて地理的表示保護制度(GⅠ)の指定を受けた「紀州金山寺味噌」の歴史と魅力にふれた。今週は国税庁の同制度に指定されている「和歌山梅酒」を紹介したい。
和歌山梅酒は2020年に指定され、酒類としては全国で13例目、リキュールでは全国初。生産基準は、使用される梅の実が県内で収穫された新鮮な青梅または完熟梅のみを使用したもので、酒類および梅の実以外の原料は、果肉、果汁、糖類、含糖質物および炭酸に限られる。アルコールは10%以上35%未満で、梅の実は浸漬する酒類1㌔㍑あたり300㌔㌘以上を使用。浸漬、酒造工程時の貯蔵、容器への詰め込みは県内で行うなど厳格。
指定に至った、梅酒づくりの自然的要因として、和歌山県は面積の約8割が山地で、西側は瀬戸内海から太平洋に続く海に面することから、高品質な梅の栽培に適したミネラルが豊富な地層が山間地に広がる。温暖で降水量が多いため梅の成長に適し、台風シーズン前の6月に収穫できることから、田辺市やみなべ町を中心に栽培が広がったことが評価。
人的要因としては、紀州金山寺味噌や湯浅醤油のような発酵食品の製造が盛んで、清酒などの酒類製造業者も多い。酒類製造業業者は低温期の冬から春にかけて製造の繁忙期を迎えるが、春から夏にかけては閑散期となる。この期間の収益を確保し生産性を向上したいという課題と、嗜好の変化により需要が減少傾向にあった梅農家の課題を解決する切り札として、梅酒の製造が盛んになったことが評価。
地場産品の連携により地域の課題を解決し、新たな価値を作ったことが、現在の和歌山梅酒の起源。世界へ和歌山の魅力と共に広がってほしい。(次田尚弘/和歌山市)

