カイロスまたも延期 測位衛星の受信安定せず

宇宙事業会社のスペースワン㈱(東京都)は4日、和歌山県串本町の「スペースポート紀伊」で午前11時に予定していたカイロスロケット3号機の打ち上げを直前に中止した。同社は、機体の位置などを把握する測位衛星からの受信状態が安定せず、自動監視システムが作動し、緊急停止したと説明した。次の打ち上げは5日午前11時10分に行う。
3号機は、当初予定の2月25日、さらに3月1日の2回、天候分析を理由に打ち上げを延期。今回で3度目の延期となり、国内初となる民間単独での人工衛星の軌道投入への挑戦は、またも持ち越しとなった。
スペースポート紀伊では4日、天候判断、機器・設備の起動、安全確認などの打ち上げ準備が進められ、予定時刻7分前の午前10時53分には打ち上げ実施の判断を公表していたが、カウントダウンに入ってから中止を余儀なくされた。
同日午後、同社の関野展弘副社長らが串本町のホテルで記者会見。緊急停止したのは打ち上げの28・9秒前であり、3号機の機体や天候に全く問題はなく、万全を期すために自動監視システムの設定数値を厳しくしていたと説明した。
測位衛星は、5日の方が受信状態がよくなる位置になるという。関野副社長は「(4日の打ち上げ予定時刻は)受信が悪くなる傾向であることは把握していたが、実際に引っかかってしまい、じくじたる思いがある」と述べた。
田原海水浴場(串本町)と旧浦神小学校(那智勝浦町)の2カ所の公式見学場の来場者は計約600人にとどまった。それでも田原海水浴場では、熱心なロケットファンらが砂浜近くの芝生にレジャーシートを広げて打ち上げを待ちわび、ロケット関連グッズや地元の名産品などを販売するブースもにぎわった。

午前11時が迫ると会場の興奮と緊張は最高潮となり、1分前にはカウントダウンも始まったが、時刻を過ぎてもカイロスは姿を現さず、打ち上げ中止が会場にアナウンスされ、「またか」「残念」などと落胆の声が広がった。
同海水浴場で報道陣の取材に応じた田嶋勝正町長は「本当に残念だが、ロケットが打ち上って壊れたわけではない。3月25日まで期間がとられているので、それまでに原因を解決して、打ち上げてもらいたい。町としても全力でバックアップしていきたい」と話した。
さらに、人工衛星の軌道投入が実現すれば、その日を「串本ロケットの日」と定め、町内の観光振興や子どもの宇宙教育の推進などを図る内容の条例案を町議会に提出する方針を明らかにし、3月議会中の実現に期待を示した。
カイロスの見学に訪れるのは5回目という和歌山市の公務員、林実香さん(45)は「世間では失敗といわれた2号機が打ち上る姿を見た時から心をわしづかみにされている。きょう飛ばなかったのは残念だが、みんなで空を見上げて待つ、このイベントの全部が楽しい。まだまだ味わえると思って、次も必ず来たい」と話していた。

