有吉佐和子の思い届ける 「三婆」の俳優が意気込み

和歌山市出身の作家、有吉佐和子の不朽の名作『三婆(さんばば)』が11月に京都・南座で上演されるのを前に、出演する俳優の高橋惠子さん、川中美幸さん、山村紅葉さんの3人が9日、和歌山市役所を訪れ、尾花正啓市長を表敬訪問した。
一行は同日、東京都内の旧邸から書斎などを移築・復元した同市の有吉佐和子記念館も訪れ、原作者ゆかりの地で作品への意気込みを新たにした。
『三婆』は1961年に発表された有吉の小説を原作とする喜劇。物語の舞台は昭和38年の初夏、金融業を営む男の急逝から始まる。残された莫大な借金返済のため、本妻が守る本宅に、愛人と男の妹が転がり込み、3人の女性による奇妙な共同生活が繰り広げられる。個性派女優陣が織り成す、涙あり笑いありの人間讃歌として、半世紀を超えて愛され続ける傑作が再び舞台によみがえる。
市役所を訪れた3人は、同館でふれた有吉の創作の軌跡やそれぞれの役どころへの思いを語った。
本妻役を演じる高橋さんは「30歳という若さでこの作品を書いたと聞き、それぞれの立場の思いを見事に書き分けた有吉先生は、やはり普通の方ではないと思った。先生が描いたメッセージを今の時代の人たちに届けたい」と感銘を受けた様子。
愛人役の川中さんは、同館で有吉の書斎を目の当たりにし「先生に対する思いが余計に深くなった。作品に傷をつけないよう、精いっぱい演じたい」と思いを込めた。
小姑役の山村さんは、母親である作家・山村美紗の執筆風景と有吉の書斎を重ね合わせ「手書きの原稿から伝わるものがあり、じんと来た。大好きな南座の舞台で弾けたい」と笑顔で意気込んだ。
尾花市長は「有吉作品には和歌山城も登場し、有吉さんは和歌山を非常に愛してくださった。高齢化や新しい家族の形を描くこの作品が、今の時代に上演されるのは大変楽しみ」と期待を寄せた。
また、この日、高橋さんらは県庁の宮﨑泉知事を表敬訪問した。公演は11月3日から25日まで。


