世界の舞台へ挑む パラアーチェリー新川さん

和歌山県海南市のパラアーチェリー選手の新川(しんかわ)貴信さん(57)は、2028年のロサンゼルスパラリンピック出場を目指し、練習に励んでいる。30日からは、タイで開かれるアジア大会に日本代表として出場。「57歳での挑戦は、体力的にも資金面でも最後かもしれないという思いもある。アーチェリーが人生を変えた。やれることはやり切る」と意気込む。
新川さんは24歳の時、建築関係の仕事中、事故により脊髄を損傷し、下半身不随となった。アーチェリーとの出合いは6年前。事故後、車いすでの生活となり、これまで自営業をしていたが、体調を崩してしまい仕事を辞めた。健康のためにと、介護ヘルパーに勧められたのがアーチェリーだった。
パラのアーチェリー競技では、70㍍先の的を目がけて矢を放ち、得点を競う。標的は直径122㌢、中心が最高得点となっており、中心の的は直径12・2㌢。CDとほぼ同じ大きさの的を狙う。筋力と集中力、強いメンタルが必要となる。
新川さんは、狙った所に矢が刺さった時の爽快感、また、的に当てる難しさなど、アーチェリーの奥深さを知り、どんどんのめり込んでいった。2年がたったある日、大阪府内での練習場で一緒になった上山友裕選手との出会いが人生を変えた。
「一緒に世界を目指しませんか」と声をかけられ、上山選手のアーチェリーに対する熱意や周りの選手に対する姿勢から、新川さんは「資金面や年齢、障害で挑戦を諦めたくない。私も世界を目指したい」と決意。筋力トレーニングにも積極的に取り組み、指導を仰ぎに九州へ遠征にも行った。
23年には第47回のじぎく杯アーチェリー大会で優勝し、25年滋賀県開催の第24回全国障害者スポーツ大会2025男子リカーブ50㍍・30㍍ラウンドでは、大会新記録を出し、1位に輝いた。
競技にかかる遠征費や指導者への訪問費、アジア大会のタイへの費用などは、全額自己負担だといい、「健康づくりのために始めたアーチェリーだったが、今では人生をささげるほど生きがいになった。金銭面で諦めたくない」と、貯金を切り崩し取り組んでいる。
タイでの大会に向け、「ライバルは自分。自分がどこまで通用するか挑戦したい。これまでお世話になった人のためにメダルを取りたい」と思いは揺るぎない。セットアップから打つまで流れるようなリズムで打てるよう、リラックスを意識。一日6時間の練習に励んでおり、「挑戦する姿を通じて、挑戦したい人への夢や希望になれれば」と話している。

