来年9月開校の英名門ゴードンストウン CEOらに聞く

ゴードンストウンの理念や日本校の展望を語るミュアCEO㊧、根岸理事長㊨
ゴードンストウンの理念や日本校の展望を語るミュアCEO㊧、根岸理事長㊨

英国スコットランドに本校を置く全寮制のインターナショナルスクール「ゴードンストウン」の初めての日本校「ゴードンストウン・ジャパン・ウェスト校」が2027年9月、和歌山市梅原に開校する。同国のチャールズ3世国王らを輩出し、勉学の厳しさと多彩なアクティビティの実践による人間教育で世界的に知られる名門であり、姉妹校誕生への地域の関心も高まっている。開校準備のため市を訪れたゴードンストウンのパメラ・ミュア最高経営責任者(CEO)、日本校を運営する学校法人OCC(大阪市)の根岸正州理事長に、同校の理念や教育の特徴、和歌山への期待などを聞いた。

失敗を通じて学ぶ セーリングは必須

「和歌山には私たちが求めるものが全て整っている」とミュアCEOは語る。「産業と自然が共存する和歌山は非常に魅力的で、初めて訪れた瞬間からそう感じた。ゴードンストウンにとって自然は非常に重要であり、教室外での活動は授業と同等の意味を持つ。和歌山は海も山もあり、セーリングに適した環境として理想的だ。(和歌山マリーナシティに)ナショナルトレーニングセンターがあることも大きい」と、和歌山の環境に大きな期待を寄せる。

セーリングはゴードンストウンの教育の中核的な必須科目となっている。ミュアCEOは「若い生徒にとってセーリングはとても苦労する活動だ。失敗をして自分の弱さを学ぶ体験によって、自分をより自由にし、成長することができる」とし、さらに人々と共に活動するチームワークの力、より困難な道を自分で積極的に選ぶ力を得ることができると強調。「長い目で見た場合、そうした力を持つ生徒を育てることにより、日本をより良い方向に、強い方向に導くことができると思っている」と話す。

可能性伸ばす挑戦 生徒のケアを徹底

ゴードンストウンの重要な理念に、「More in you than you think」(あなたの中にはもっと可能性がある)との創設者クルト・ハーンの教育哲学がある。

根岸理事長は「好きなことを伸ばすことも当然大事だが、快適ではない経験や失敗を通じて学び、それを学校がしっかりサポートすることで、生徒の可能性が広がる。トータルとして育っていく人間教育を大事にしている」とし、それが理念にとどまることなく、実践されているのがゴードンストウンだと語る。

日本にも似た理念を掲げる学校はあるが、教員1人が受け持つ生徒数が多過ぎることなどから、生徒のケアをし切れていないと根岸理事長は指摘する。

ゴードンストウンでは教員1人が受け持つ生徒は5~10人。キャンパスでは教員が生徒との交流の中で、何に関心を持っているか、何に悩んでいるか、何をやりたいと思っているかなど、生徒一人ひとりの状況を把握し、学校がチームとしてそれぞれの人生に寄り添っていく。生徒を守り、ケアすることを大前提に、いわば「管理された失敗、管理された挑戦をする環境」を整え、生徒それぞれが学び、能力を伸ばすのだという。

生徒に社会貢献の重要性を教え、実践を必須科目としていることもゴードンストウンの教育の大きな特徴。スコットランド本校では毎週、生徒が地域で社会貢献に取り組み、例えば障害のある子どもたちの手伝いをしたり、清掃をしたり、高齢者施設を訪問して話をしたりする。

ミュアCEOは「こうした体験を通じて、生徒たちは社会に対して自分たちが持っている責任を学んでいくことになる」と話し、日本校でも同様に、生徒が地域の課題に関わりながら学ぶ仕組みを設ける。

日本文化との融合 新たな価値目指す

日本校では、英国の伝統的教育と日本の文化・テクノロジーの融合も目指す。

根岸理事長は「高野山を擁する和歌山にある日本の精神性、調和などの要素をカリキュラムに組み入れたい」と話すとともに、中学生全員に1人1台のタブレット端末が提供されているなど、世界最高水準の整備率にある日本の教育テクノロジーを活用し、「ゴードンストウンの人間教育をより高める新たな価値を生み出したい」と意欲を語る。

ミュアCEOは、日本文化の中でも田辺市の植芝盛平が創始した合気道に強い関心を持っている。「内面的な強さを持つ人間は、他者に対して攻撃的ではなく優しい態度を取り、平和を得ることができる。これが合気道の精神だと理解している。スコットランドと和歌山の橋渡しをして、世界に平和の精神を広めたい」と話している。

独自の教育を体験 サマープログラム

ゴードンストウンの教育を体験できるサマープログラムが8月、和歌山市内で開催される。2~7日、15~20日の2回のセッションがあり、国内外から子どもたちが集まり、5泊6日の学びの中で社会の課題に向き合い、解決の方策を考えるなどのプログラムに取り組む。

詳細はゴードンストウン・ジャパンのホームページに掲載。