勇壮・華麗な時代絵巻 熱気最高潮、初夏の和歌祭

紀州東照宮(和歌山市和歌浦西)の例祭「和歌祭」が17日、和歌浦地区一帯で行われた。この日は市内でことし初めて真夏日を記録する暑さとなり、勇壮な神輿(みこし)おろしは、担ぎ手たちの熱気一色。華やかな時代衣装に身を包んだ渡御(とぎょ)行列が沿道を歩き、多くの見物客らが豪華絢爛(けんらん)な時代絵巻を楽しんだ。
同祭は1622年(元和8)、初代紀州藩主の徳川頼宣が父・家康の慰霊のために始めた。約400年の歴史の中で中断した時期もあったが、地元有志らの手によって復活し、継承されてきた。毎年、家康の命日とされる5月17日に近い日曜に行われており、命日と日曜が重なるのは11年ぶり。
祭りは紀州東照宮の本殿から続く108段の急峻(きゅうしゅん)な石段を、100人を超える男衆が勇壮に駆け下りる「神輿おろし」で幕開け。1㌧以上の重さがある神輿を左右に揺らしながら「チョーサー!」と威勢のいい掛け声とともに石段を下りると、見物客からは歓声が上がった。
宮﨑泉知事や紀州徳川家19代当主の徳川宜子さんらが見守る中、同祭保存会の中山豊若実行委員長による「エイエイオー!」の掛け声を皮切りに、渡御行列は紀州東照宮を出発。華やかな女子神輿や元気いっぱいの子供神輿が続いた。反物を積んだ櫃(ひつ)を担ぐ行商人のいでたちをした「連尺」(れんじゃく)や頼宣の生母・お万の方にちなんだ芸能と伝承される「団扇太鼓」(うちわだいこ)、子どもを見つけると鳴り物で驚かせる「面被」(めんかぶり)など、40を超える演目に800人以上が参加し、和歌浦漁港や万葉館、不老橋、あしべ通りなど約4㌔を練り歩いた。
最も修練が必要とされる「薙刀振」(なぎなたふり)では、10を超える技を組み合わせた連続技が行われ、見物客は動画や写真に収めていた。釣鐘状の竹の骨組みに布を張ったものを背負い、「ショモ(所望)」という掛け声を受けてその場で回転する「母衣」(ほろ)では見物客が背負う体験も行われた。参加した男性は勢いよく回り、拍手が起こっていた。
和歌浦が地元で、面被として参加した岡崎昇一さん(78)は今回孫も母衣に参加した。「和歌祭には小学2年生からもう70年ほど来ている。きょうみたいに暑い日はしんどいが、渡御行列に参加すると気持ちがすっきりしますね。ありがたいです」と笑顔だった。

