瀬戸内海で取れる高級魚「ハモ」

瀬戸内海で取れる「ハモ」
瀬戸内海で取れる「ハモ」

前号では、市場価値が高まる「足赤エビ」の生態と特徴について取り上げた。足赤エビのシーズンは終わりを迎えるが、これから旬を迎え、足赤エビに代わる高級魚として水揚げされるのが「ハモ」。京都の祇園祭では行事を司る食材として重用される魚である。今週は雑賀崎漁港で揚がるハモの生態と漁法を紹介したい。

ハモはウナギ目に属する魚。ウナギに似ているが、大きな口と鋭い歯を持つ。肉食で全長1㍍程度のものが主流だが、大きいものでは2㍍を超えるものもある。昼間は砂や岩陰に潜み、夜になると活動を始める。大型の肉食魚で、小魚やエビ・カニなどの甲殻類、イカ・タコなどの頭足類を食べる。かなりの凶暴で扱いには細心の注意を払う必要があるという。西日本各地に生息し、とりわけ瀬戸内海沿岸でよく獲れる。

雑賀崎漁港では、5月中旬を境に出漁と帰港時間が異なることは前々号で説明したが、その理由は狙う魚の種類と、この地域で主に行われる底引き網漁の方法の違いに関係する。底引き網漁には5月中旬から10月ごろまで行われる「板こぎ漁」と、それ以降に行われる「石げた漁」の2種類があるという。

板こぎ漁は網の両端に鉄板を取り付け、船で引くことで、網が膨らみ、回遊する魚を捕らえていく。一方、石げた漁は熊手のような爪がある網を船で引くことで、海底の砂や泥の中にいる魚やエビを捕らえていく。5月中旬以降は夕方から出漁し、水深数十㍍付近を泳ぐハモなどを狙う。

栄養豊富で夏バテ対策にも有効な白身魚。瀬戸内海が主な漁場で、関西の夏に欠かせない存在のハモ。その魅力にふれていきたい。(次田尚弘/和歌山市)