熟練の技「ハモの骨切り」

骨切りされたハモ
骨切りされたハモ

前号では、瀬戸内海で取れ、旬を迎える「ハモ」の生態と漁法について取り上げた。今週は関西の夏に欠かせない存在となった理由を紹介したい。

ハモは京都の夏を代表する伝統的な祭事である「祇園祭」の膳に、湯引きなどの料理が並ぶなど、ハモは祭りに欠かせない存在である。なぜ、内陸で瀬戸内海から離れた京都で伝統的な料理になったのか。それはハモの生命力の高さに由来するという。

現代と比べ保冷技術が低く、漁港からの距離がある京都において、夏場でも傷みづらい魚を求め、生きたまま運ぶことができるハモに着目。高タンパクで低脂肪のあっさりとした白身との相性が抜群である梅肉のソースは酸味と甘みのバランスに優れ、京都の夏の定番料理として定着していった。

梅肉にある酸味が食欲をそそり、抗酸化作用や疲労回復効果も期待され、暑い夏を乗り切るための健康食としても重宝されることに。氷や青い紅葉を使った盛り付けは、見るだけで涼を感じさせてくれる。

湯引きにするために必要な技術が「骨切り」。ハモには小骨が無数にあり、一般的な魚のように骨を抜くことはできない。そのため、皮一枚を残して一寸(約3・3㌢)あたり24個以上の切れ目を入れ、小骨を断ち切ることに。そうすることで柔らかい食感になり、湯引きに適した仕上がりに。湯通しすることで皮も柔らかく丸まり、見た目も良くなる。

熟練の技が物を言い、うまく切れるようになるまでに10年近い経験が必要とされる。繊細な料理がきわ立つ、京都ならではといえよう。

「鱧祭」の異名を持つ祇園祭。夏を彩る食の魅力がここにある。(次田尚弘/和歌山市)