七代目乙姫に間嶋さん 紀三井寺の「龍灯献上行脚」

龍宮の乙姫が龍灯を携えて訪れたという紀三井寺(和歌山市)の伝説を再現する「龍宮乙姫龍灯献上行脚」(8月9日)の出演者が決まり、乙姫役と、共に行脚する女官役4人のお披露目が5月31日に同寺であった。オーディションで七代目の乙姫役に選ばれた大阪芸術大学舞台芸術学科3年生の間嶋千景さん(20)=大阪府四條畷市=は「海の中から訪れ、時が止まったような乙姫さまの美しさを表現できるよう頑張りたい」と意気込んだ。
紀三井寺では毎年8月9日、一日の参詣で千日分の功徳が得られるという「千日詣」が行われており、この乙姫伝説が由来となっている。約1250年前に唐から日本に渡り、紀三井寺を開いた為光(いこう)上人が大般若経の書写を終えようとした際に乙姫が現れ、毎年8月9日に、海の中でも消えない龍灯を献上しに龍宮から訪れると告げたと伝えられている。
同寺は、この伝説をより広く知ってもらおうと2017年から「龍宮乙姫龍灯献上行脚」を実施。コロナ禍による20~22年の中止を経て、今回で7度目の開催となる。
15歳(高校生以上)~29歳を対象に公募。SNSでの発信に力を入れたこともあり、県内や関西圏を中心に去年の3倍以上で過去最多となる76人の応募があった。県外の人が乙姫に選ばれたのは初めて。
女官役には、コスプレーヤーの岸春希さん=東京都=、同志社大学3年生の川瀬さくらさん=大阪市=、団体職員の梅田朝里さん=和歌山市=、動物看護師の藤原遥香さん=和歌山市=の4人が選ばれ、乙姫一行を迎える巫女(みこ)役の2人も決まった。
乙姫役の間嶋さんの母親は、紀三井寺のすぐそばの出身で、25年前に同寺で巫女をしていたという縁がある。間嶋さんは、3歳から続けるクラシックバレエを芸術に関することに生かしたいと挑戦。オーディションでは感情を表す独自の身体表現が審査員を驚かせたといい、「龍宮の海や水の雰囲気を大切に、目線の使い方も自分なりに研究していけたら」と話していた。
女官役の岸さんは「たくさんの方に喜んでいただけるイベントになるよう頑張りたい」、川瀬さんは「緊張とわくわくでいっぱい。責任を持って務めさせていただきたい」、梅田さんは「和歌山が大好きで、和歌山を盛り上げるイベントに携わりたいと応募した。千日詣が皆さんにとって特別な一日になれば」、藤原さんは「小さい頃からやっていた日本舞踊を生かして、来ていただいた皆さんの記憶に残るようなイベントにしたい」と、それぞれ笑顔で決意した。
今回も、振り付けや演出などは和歌山オリエンタルダンス協会の代表理事で、初代乙姫を務めたEva.(エヴァ)香陽さんが担当。エヴァさんは「5人がつくり出すエネルギーは毎年違う。このメンバーで、これまでとは違う行脚が見られるのでは」と期待を寄せた。
5人は同寺本堂で前田泰道貫主と共に大役の成功を祈願し、為光上人にまつわる逸話に耳を傾けた。また、扇の使い方なども教わり、当日に向けて思いを新たにした。

