過去最大規模で実施へ 未来スクールキックオフ

和歌山市内の中学生を対象に、学校と地域企業が協働で行う探究型キャリア教育プログラム「未来スクール」の昨年度活動報告会と本年度キックオフイベントが和歌山市の和歌山城ホールで行われ、中学校教諭、経営者などの関係者ら約70人が参加。昨年度の成果を振り返るとともに、新年度の活動方針を共有した。本年度は新たに4校を加え、市立中学校のうち、過去最大規模となる10校で実施することが発表された。
12年目の取り組み。学校法人山本学園キャリア教育事業部が運営する探究型キャリア教育プログラムで、地域で働く社会人が「職業先生」として中学校を訪れ、仕事の魅力や生き方を伝える授業を行う。義務教育課程の「総合的な学習の時間」の枠組みで実施され、ことし2月に「第15回キャリア教育アワード」コーディネーター部門で最高賞を受けた。
開会にあたり、同スクール代表の山本理恵さんが「きょうが和歌山の未来へつながる新たなキックオフになると確信している」とあいさつ。来賓の市教委教育長職務代行者の藤本禎男さんは、自身が校長を務めていた当時に初開催を受け入れた経緯を振り返り、「失敗を恐れず挑戦する力や課題を解決する力が求められる時代。未来スクールはその先駆けとなる取り組み」と評価した。
活動報告では、昨年度に市内6中学校で延べ1211人の生徒を対象に156教室を実施したことを紹介。成果発表では市立紀之川中学校の植西仁美校長が「未来スクールを通じて生徒が社会とのつながりを実感し、進路を具体的に考えるようになった」と報告。同校の代表生徒は「企業の人から直接学ぶことで働くことへの理解が深まった」と話した。
本年度は1年生を対象に、約1448人に168教室を届ける予定。山本さんは「地域企業と学校がつながり、子どもたちの探究心に火をつける場をさらに広げていきたい。全ての子どもたちが自分の未来と地域の未来に希望を持てる社会を目指したい」と話している。
企業側も成果報告 共に学ぶ社会投資
参加企業を代表して、㈱スズキモーター和歌山の中谷久生代表取締役が活動を振り返った。授業では専門用語をできるだけ使わず、生徒たちに伝わる言葉を選ぶことが重要だったとし「成功談よりも失敗談の方が子どもたちの関心を引き、身を乗り出して聞いてくれた」と報告。一方的に話すのではなく質問を交えながら進めることで一体感が生まれ、「正解を教えるよりも、楽しそうに働く大人の姿を見せることに価値があると感じた」と話した。
特別講演では、福井県福井市の清川メッキ工業㈱取締役副社長で、教育活動にも長年携わる清川卓二さんが自社でのキャリア教育の実践例を紹介。子ども向けの出前授業を通じて社員の仕事への誇りや自己肯定感が高まり、離職率の改善や職場環境の向上につながったと説明した。キャリア教育は、人材育成や企業成長につながる「社会投資」であると強調。教える側の大人も学びや気付きを得ることで、地域全体の活性化につながると述べた。


