紀州材で至高の響き 早出さんがスピーカー開発

紀州ウッドスピーカーを囲み、早出さん㊨と小杉さん
紀州ウッドスピーカーを囲み、早出さん㊨と小杉さん

和歌山県白浜町の元エンジニア、早出(そうで)正さん(79)が紀州材を活用して作った小型の「紀州ウッドスピーカー」の新製品を発表した。ヒノキやスギを振動板にしたスピーカーで、紀州材の新たな可能性に注目が集まっている。早出さんは「まるで中世ヨーロッパの時代に貴族たちが室内楽を楽しんだような、豊かな気持ちにしてくれる響き。多くの人に聴いてもらいたい」と話している。

早出さんは長野県出身。精密機器メーカーの㈱諏訪精工舎(現在のセイコーエプソン㈱)でマーケティングエンジニアを約30年務めた後、香港で精密機器関連の会社を経営した。2009年、豊かな自然に引かれて同町に移住。熊野古道で通訳ガイドを務める中で、廃材となった材木を至る所で見つけては、活用する術はないかと探ってきた。

レコード好きが転じて木でスピーカーを作ろうと19年、「紀州ウッドスピーカープロジェクト」を立ち上げた。木の種類を選び抜き、龍神ヒノキを使った振動板や筐体(きょうたい※外箱)からなる高音質なスピーカー作りが始まった。

中高音を出す上側に、響きの命といえる厚さ1・5㍉の薄板の振動板を紀州材で作って配置した。注目したのは、現在まで何百年もの間、形状が変わらないバイオリン。形を模して加工し、F字孔と呼ばれる穴を開けて試すと理想の響きに近づいた。カーブの角度を何度も微調整して最高の響きを探し、研磨・塗装を施し、7年かけて完成させた。

ピアノ曲を奏でると、豊かな音色の中に音の輪郭が感じられ、まるで目の前に楽器があるかのような自然な響きが魅力。高さ50㌢、横22・5㌢、奥行き25㌢。2年前に作った初代よりも半分以下の小型化に成功し、場所を選ばず置きやすいと好評を得ている。特許も取得した。

和歌山市狐島の「The Plant Based IRODORIYA咖喱麺(カレーめん)」で常設展示が始まり、体験会が開かれた。早出さんと共同で制作する田辺市の小杉一さん(77)がスピーカーを披露し、早出さんは「日本人のエンジニアには、ものを徹底的に極める精神がある。何時間聴いても疲れない良い音に仕上がった」と笑顔だった。

同店に好みのCDを持ち込んで試聴できる。受注生産しペアで60万円(税別)。

問い合わせは早出さん(℡0739・42・2881)。