医大など 「中條・西村症候群」モデルマウス作成に成功

和歌山県立医科大学と兵庫医科大学など6団体からなる研究グループは、和歌山・泉南地方に多い遺伝性炎症性疾患で国指定難病「中條・西村症候群」の患者と同じ遺伝子変異を持つモデルマウスの作成に成功し、患者に見られる症状の一部を再現できたと発表した。今後、病気の仕組みの解明や、新たな治療法の開発につながることが期待される。
同症候群は、繰り返す発熱や幼少期からの凍瘡様皮疹、顔面や上肢の部分的な脂肪・筋肉の萎縮などを特徴とする極めてまれな遺伝性自己炎症性疾患。病名は1939年に報告した中條敦医師と、1950年に報告した和歌山県立医大皮膚泌尿器科初代教授の西村長應博士に由来する。「凍瘡を合併する続発性骨骨膜症」などの病名で、和歌山・泉南を中心とした関西と関東・東北から国内で約30例が報告されている。
原因は、細胞内で不要になったタンパク質を分解する「プロテアソーム」の働きに関わる「PSMB8」遺伝子の変異とされる。プロテアソーム関連自己炎症性症候群(PRAAS)として、日本だけでなく世界中から報告があるが、病態の詳細は未解明な部分が多く、根本的な治療法も確立されていない。
同グループに所属する長崎大学原爆後障害医療研究所は、日本の患者全員に共通して確認されているPSMB8遺伝子の変異「G201V」を持つマウスを作成した。国内で2例目。その後、県立医大に移譲され、約2年間にわたり解析したところ、通常のマウスに比べて寿命が短く、高齢になると体重が増えにくくなることが判明した。また、患者と同様に脂肪組織の萎縮や炎症が見られ、血液中の炎症性サイトカイン「IL―6」も上昇していた。一方で、人の患者で見られる皮膚症状など再現されない症状もあった。
このほど同大で行われた記者発表には、県立医大医学部皮膚科学講座の原知之助教と兵庫医科大学皮膚科学の金澤伸雄主任教授が出席。原助教は「患者さんに有効な薬を見つけるためには、まず動物で効果や安全性を確認する必要がある。今回のモデルマウスは病態解明だけでなく、新たな治療薬開発の重要な基盤になる」と話した。
今後は、現在患者の治療に用いられているJAK阻害薬や、これまでiPS細胞研究で有望性が示された候補薬について、モデルマウスを用いた有効性の検証を進める方針だという。
今回の研究結果は国際科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。


