保存でき、深い味わい「ちりめん」

前号では、鮮度が命で限られた地域でしか食べることができない、生しらすの特徴と味わいについて取り上げた。鮮魚売場では釜揚げしらすと共に「ちりめん」が並べられていることが多い。いずれもカタクチイワシなどの稚魚で、加工の仕方が異なるだけで、ちりめんにも釜揚げしらすに負けない魅力がある。今週はちりめんを紹介したい。
両者の違いは水分量。8割から9割の水分が含まれる釜揚げしらすと比べ、ちりめんは5割以下。水分量が少ない分、保存期間が長いのが特徴で、冷蔵保存の場合、釜揚げしらすの賞味期限は製造から3日程度、ちりめんは2週間程度で設定される。
ちりめんの加工は、釜揚げしらすを機械や天日干しにより乾燥させるというもの。釜揚げしらすと比べ食感はパサパサとした硬さになるが、深い味わいが楽しめる。元は同じ魚であるので、釜揚げしらすとちりめんの栄養成分に大差はないが、ちりめんは乾燥している分、1度に摂取する量が多くなる。100㌘あたりの栄養価として、釜揚げしらすのカルシウム含有量は約190㍉㌘であるのに比べ、ちりめん(半乾燥のしらす干し)は520㍉㌘と3倍近くになる。
注意したいのが塩分摂取量。100㌘あたりの食塩含有量として、釜揚げしらすには約2·1㌘、ちりめんには約6·6㌘含まれ、ちりめんの場合、大さじ1杯あたり約1㌘となる。成人の塩分摂取量は1食あたり2㌘から2·5㌘が理想とされているので、食べる量には注意されたい。塩分が気になる場合は、さっとゆでて塩抜きすることもおすすめ。
加工後に保存できる期間や使用される料理の種類、食べる人の好みなど、地域性や用途により使い分けされる釜揚げしらすとちりめん。それぞれの良さを理解し、おいしくいただきたい。(次田尚弘/和歌山市)

