おばちゃんネタでM-1挑戦 バナナFMの「オトシャボ」

漫才の頂上決戦「M-1グランプリ」に、和歌山市のエフエム和歌山(バナナFM)でラジオパーソナリティーを務める宇和千夏さん(63)、小林依子さん(65)のコンビ「オトシャボ」が挑む。4年連続の挑戦で、13日の予選へ準備は万全。番組でも息ぴったりな2人が、磨き上げた「おばちゃんネタ」と絶妙なしゃべりを武器に勝負する。過去には2回戦へ勝ち上がった2人は「持ち味であるおばちゃん同士の漫才で爆笑を起こしたい。目指すは3回戦進出」と意気込んでいる。
2人はエフエム和歌山の番組「オトコなんてシャボン玉」でパーソナリティーを担当。これまで歌や作詞、落語など、さまざまなジャンルに挑戦してきた宇和さんだが、人を笑わせることの難しさを常々感じており、以前からM-1に出てみたいと思っていたという。そこで宇和さんが小林さんに声をかけ、2023年にコンビを結成した。
相方の小林さんは、イベント企画・運営会社㈱inntoro(イントロ)の取締役。フリーライターで、イベントの司会など多彩に活動している。
普段のラジオ番組は打ち合わせなしの完全フリートーク。初挑戦の2023年は、その感覚のまま「話の筋道だけ決めればいける」と勢いで挑んだものの、結果は1回戦敗退。「漫才ってこんなに難しいんや。台本はちゃんと書かなあかん」――。負けず嫌いな宇和さんの心に火がついた。
2年目は練習を重ねてリベンジ。リズム感あふれる「おばちゃんカミングスーン」のフレーズを盛り込んだネタで、見事1回戦を突破した。エントリー数が1万組を超え、アマチュアの1回戦通過率が10%以下ともされる狭き門をくぐり抜ける快挙。しかし、実力派がひしめく2回戦の壁は厚く、涙をのんだ。
3年目は準備不足もあり、悔しくも1回戦で敗退。ことしの出場には迷いもあったが、消化不良のまま終わった昨年のふがいなさに、宇和さんは「このままでは終われない」と一念発起する。とはいえ、2人とも練習嫌いで、ギリギリにならないとエンジンがかからないタイプ。小林さんが7月下旬に台本を書き上げ、2人で内容を練った。カラオケボックスにこもり、間の取り方などを確認しながら、やりとりを体にたたき込んでいった。
1回戦のネタ時間は2分。観客を入れての審査形式について、小林さんは「板の上に『ど~も~!』って出ていく高揚感がたまらんのです。M-1の会場は完全にアウェイ。知らない人が笑ってくれた時は、最高に気持ちいい」と笑顔で話す。基本は、宇和さんがボケで小林さんがツッコミ。今回のネタは天使と悪魔が登場するような構成で、普段は口に出せないけれど「実はちょっと悪どい」おばちゃんの心の声を代弁する。「お姉さん」寄りの上品な宇和さんと、「おっさん」寄りの小林さんという、対照的な2人のキャラクターも見どころ。
「声の対比も意識している」と小林さん。フリーアナウンサーという仕事柄、はきはきと通りやすい宇和さんの声と、小林さんのちょっぴり毒のある物言いという対極的なかけ合いが、じわじわと笑いを誘う。
宇和さんは「たくさんの人に笑ってもらい、自分たちの笑いを認めてもらえればうれしい」、小林さんは「『普通のおばちゃん』ではなく『面白い個性的なおばちゃん』として認識されたい。60歳を過ぎて全力で挑戦する2人の姿を見てほしい」と話している。


