世界の子どもが課題解決策提案 ゴードンストウン夏季学習 

サマープログラムの成果発表を行う子どもたち
サマープログラムの成果発表を行う子どもたち

来年9月に和歌山市梅原に開校予定のインターナショナルスクール「ゴードンストウン・ジャパン・ウエスト校」を運営するゴードンストウン・ジャパン(根岸正州理事長)は今月、同校の実践的な学びを体験するサマープログラムを同市内で開催した。参加した子どもたちは、友ヶ島の海洋プラスチックごみ問題やネパールの貧困家庭への経済的支援策について探究し、解決策を提案した。

ゴードンストウンは英国スコットランドに本校を置き、チャールズ3世国王らが在籍した全寮制の名門。初の日本校開校を前に企画された今回のサマープログラムは、2~7日と15~20日の2回、各5泊6日で行い、第1回にはフランス、カナダ、台湾、ジンバブエなどから27人、第2回には同市や高野町を含む日本を中心に6~17歳の18人が参加した。

サマープログラムは、「Me(私)」「We(私たち)」「World(世界)」の三つのセクションで構成。同校の課外活動ディレクターで国際的人道支援家のリンダ・クルーズ氏を中心に企画したもので、「私」では、子どもたち自身が自分の個性や才能がどういうものかを見つめ、「私たち」では、友ヶ島を実際に訪れ、地域課題である海洋プラスチックごみ問題に取り組み、「世界」では、ネパールの山村に暮らす貧しい家族とオンラインで対話し、一家の自立につながる支援策を考える課題に挑んだ。

また、リーダーシップを育むため、本校で必須科目としているセーリングも取り入れ、子どもたちは和歌山セーリングセンターでヨットに乗り込み、和歌浦湾の海を体験した。

こうした教育の根底には、創設者クルト・ハーンの理念「Plus est en vous(あなたの中にはもっと多くの可能性がある)」がある。ナターシャ・デンジャーフィールド校長は「教育のあらゆる部分で子どもを中心に置く」とし、「感情的知性と学問的知性を調和させることが子どもたちに大きな成長をもたらす。『Plus est en vous』は大人になっても響き続ける教育理念であり、核心にあるのは子どもの可能性だ」と強調する。

19日には、県民文化会館で第2回の成果発表会を開催。子どもたちは海洋プラスチックごみ問題については、シーグラス探しと清掃を組み合わせたツアーの企画、流木を加工・販売して海岸のごみ箱設置費に充てる案などを示し、マイボトルの使用など、日常で実行する取り組みも発表した。

ネパールの家族の支援では、5万2000ネパールルピーの予算内でプランを考案。乳用ヤギの飼育によるミルクの販売と無煙薪ストーブの導入案、現地で需要が高いマリーゴールドや野菜などの作物を栽培・販売する農業ビジネス、ヤギと鶏の飼育に加えてコーンスープや黒豆茶といった日本のレシピを応用した食品の加工法を伝える案などが出た。

審査員を務めた和歌山市の経営者らからも、実用性とイノベーションを兼ね備えた提案として高い評価を寄せた。これらの案は、会場からオンラインでつながった家族に直接伝えられ、クルーズ氏の人道支援活動のスタッフを通じて、数日中にも必要な資材などが届けられる。

サマープログラムに参加した和歌山市の小学5年の男子児童(11)は「友達もでき、海外の人とのコミュニケーションにも自信がついた」と笑顔。同市の中学2年の女子生徒(14)は「将来は人の役に立てる人間になりたい。英語を生かした仕事に就きたいという思いも強くなった」と語った。

スコットランド本校の在学生で、学生アンバサダーとして参加したティムさん(17)は「子どもたちは全力で取り組み、素晴らしい成果を上げた。自分たちが提案した解決策で実際に変化をもたらすことができると感じ、とても誇らしく思っている」と話し、和歌山市に初の日本校が開校することについては「いろんな学びの環境が整っている。新しいゴードンストウンが和歌山にできるのは〝パーフェクト〟だと思う」と期待した。

和歌浦湾でセーリングを楽しむ参加者
和歌浦湾でセーリングを楽しむ参加者